好きですか?

□最終話
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いつもと変わらない帰り道。
隣にいる志田の手を握たいと思う。
それが私だけじゃなくて、志田も思っていればいいのに。

なーーんて。

志田“で”いい。とか、志田“も”いいじゃなくて…志田“が”いい。

もう、早く想いを伝えたい。
また抱きしめられたい。

でも、あれ以来、告白が怖いし。

分かれ道が見え始めて、歩きたくなくなる。
隣にいる君は、私のことなんか興味がないんだろうな。

心の中を透視出来たらいいのに。
そしたら、志田が私のことどう思ってるのか分かるし。

少しだけでも告白のリスク減りそう。


そんなつまらないこと考えてたら、もう分かれ道。

「志田〜、じゃあね」

そう言って、進みたくない分かれ道に足を進ませる。

やっぱり、志田と別れた後って1番淋しく感じちゃう。

なんでこんなにも志田が愛おしくて、離れたくなくて、大好きなんだろう。

もどかしいなぁ〜。









「由依!!!!」

声が聞こえて振り返ると、愛しのあの人が走ってきて、私を後ろから抱きしめる。

ふわっと香るあなたの匂いに浸っていると、あなたの身体の温もりが制服越しに伝わってくる。

突然の“由依”呼びにも、胸を弾ませる。


「ねえ、由依が好き。好きで好きでどうしようもない。由依だけが好き。」

思ってもみなかった、あなたからの告白に夢なんじゃないのかと不安になる。

「愛佳…」

初めての“愛佳”呼びに、驚いてるみたい。
愛佳が今、どんな顔をしているのか、すごく気になって、抱きしめられている腕を少し解き、距離をあけて、愛佳の瞳を見つめる。

想いが届きますように…。


「私も好き…愛佳が好き…ずっとずっとこうされたかったの!」

驚いた顔を見せたあと、すぐにクシャッと猫のような笑顔を見せる愛佳。

ああ〜好き。

それから、私の想いは止まることなくて、目の前にいる愛佳を抱きしめる。

ぎゅーって、愛佳がしてくれたみたいに、想いが伝わるように抱きしめる。

「理佐に振られたあと、愛佳がいたから立ち直れたんだよ?それから愛佳が気になって、仕方なかったの。愛佳が好き。」

そう伝えると、愛佳は私を壊れるんじゃないかってぐらいきつく抱きしめてきた。

「ねえ苦しい…」

「あっ、ごめんごめん。つい、嬉しすぎて…」

いつも以上に楽しそうな愛佳を見て、愛しさが再び増える。

目の前の愛佳が愛しくて、愛しくて、大好きで。

「ねえ、愛佳…」

顔を近づけて、チュッと唇にキスをする。
愛佳はポカーンとして、指で唇をなぞる。

なんだか、愛佳に勝った気がして、自然と口角が上がる。


こんな幸せな日常を、あの志田愛佳と送れるなんて思ってなかった。

これが恋だなんてあの時には気付きもしなかったけど…。

愛されているって思える度に、私はもっと綺麗になる。


ねえ、愛佳。
私をずっと好きでいてね?
淋しくなる夜に、愛佳に抱きしめられたくなるんだ。だから、私のそばから離れたりしないでね。


愛佳が好きなんです。
ぎゅっと抱きしめていて。




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