好きですか?

□第8話
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もう少しで30分が経つのに、起きる気配はひとつもない。だけどここで待つなんて、相当、小林に惚れてるなぁ。

なかなか見れない寝顔。……可愛い。

でもこれ以上待ってたら、日が暮れちゃうし。

教室はオレンジ色に染まっている。


「何してんの」と、あたかも、今来ました感を出して、声をかける。

肩をビクッと震わせ、小林は起きたみたい。

寝てたことにも気づいてないみたい。
からかってやろう。

私がからかうと、本当に焦りだしてどんな夢を見たんだろう?と気になった。

だけど焦ってる顔が、すごく可愛くて、思わず笑ってしまった。

少し怒られたけどそれすらも可愛いって思ってたら、小林も笑い始めて。

あ〜今、なんて幸せなんだろう。


楽しいことが苦手だったはずなのに、今がすごく楽しくて幸せだと感じる。

キラキラと輝いて、周りと明るく楽しそうに話す理佐に羨ましい気持ちから憧れていた。

でも、小林と出会えてから。
小林を好きになってから。
真実の自分が分かった気がして、小林の前だと素直になれる。

…「好き」って気持ち以外は。


その放課後から、一緒に帰るようになった。あの頃は信じてもいなかった。

でも、最近、小林からの視線をよく感じる。

少しだけ期待したいけど、してもいいことないし。

前は喧嘩ばかりだったのに、喧嘩をしなくなったのは、私が少しずつ小林に素直になれてるからかな。





「理佐とねる付き合ったらしいよ!」とクラスの子の声が耳に入る。

理佐、告白したんだ…。

それと同時に、あの子のことが気になる。
小林は理佐に告白して振られた。
それなのに、このこと知ったらやばいんじゃないか。恐る恐る聞いてみたら意外と平気そうにしているから。

少しずつ立ち直れてるのが私のおかげだったら嬉しいな、なんて。


…ありえないのに。



小林と帰るようになったのは凄く嬉しい。
だけど、小林と別れて帰る一人がすごくすごく淋しくて。

ずっとずっとそばにいて欲しいって思う。


生まれて初めてだなぁ、こんな想いは。
熱があるときみたいに熱くなる。

小林のこと考えるだけで、胸が落ち着かなくなるし、顔がブアッと熱を帯びる。

小林と一緒にいると、この想いが溢れそうで。熱が伝わりそうで。心臓音が聞こえそうで。

必死にポーカーフェイスを貫く。

早く想いを届けたい。
笑顔を隣でみたい。

そんな私のワガママをどうか神様…叶えさせてください。


もう、好きで好きでどうしようもない。





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