好きですか?

□第5話
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それから、理佐に前ほど絡むことがなくなった。理佐を困らせたくないし、時間が解決するかなぁって。

理佐とねるが付き合ったって、クラスで話題になった。それを聞いた時、何も思わず、素直に「おめでとう」と思うことが出来た。

そう思えるようになったのは、志田のおかげ。私がどんどん志田に惚れていってるから…ってなんか認めたくない。

最近、私は志田と一緒に帰っている。
あの放課後がきっかけで、志田と一緒に帰るようになった。何気あの時、30分ぐらい寝っちゃってたのに、志田は待っててくれたんだよね。

なんで待ってたのか分かんないけど。

でもそのおかげで、今もこうして一緒に帰れている。

教室に私と志田、二人きりになって教室を出るから、友達は私が志田と一緒に帰ってることはまだ知らない。

隣に志田がいて、一緒に帰る日が来るなんてあの頃の私は知らないだろうし、あの頃は、隣に理佐がいることだけを考えてたなぁ。


「ねえ」

「なに?」

「理佐とねる付き合ったらしいけど…その…」

「らしいね」

「大丈夫…なの?」


そっか。志田は私の告白シーンを見てるから、私が理佐を好きだと思ってるのか。

あなたのおかげでもう吹っ切れました。

なんて、言えない。
きっとまだ、言えない。


「大丈夫だよ。お似合いだよね」


私がそんなことを言うとは思ってないあなたが、すごく目を大きく開いて驚いてる。

志田ってこんなに感情豊かなんだ。


「そんなに驚いてどうしたの?」

前に、志田がからかってきたときのように。私もからかってみる。


「……別に。心配しただけ。」

からかわれて、拗ねちゃってる。

あ〜可愛い。

ねえ、なんで。
志田って可愛かったっけ?

いつも喧嘩ばかり私としてたから、ただただウザイやつで認識してたのに。

ほんと、調子狂う。


そんなふうに楽しい時間もあっという間に終わり、分かれ道が見えてくる。


私はここを左、志田はここをまっすぐ。


「じゃあ、また明日」

「うん、またね。」


手を振る分かれ道も、今では淋しいと思う。

隣に志田がいない帰り道は、すごく淋しくて、話し相手がいなくて面白くない。

さっきまで一緒にいたのに、今すぐ会いたい。

会って想いを伝えたい。

私が志田に「好き」と伝えたら、志田はどんな顔するのかな?

また、目を大きく開いて驚いた顔を見せるかな?少しは照れてくれるかな?

あ〜どんな顔するのか考えるだけで頬が緩む。

理佐のときより、人を好きになってる気がするし、恋を楽しんでいる気がする。


でも、志田が私のことなんて好きなはずないよね…また振られるのかな〜。そう考えると告白する勇気なんて出ない。

今度は志田みたいに励ましてくれる人なんて現れないだろうし。

想いを伝えたいけど怖い。





ベッドに入っても、考えるのは志田のことばかりで眠りになんてつけない。

急に雨が降り始めた、あの日。

“そんなに強がらなくていいよ”
と、突然言って、雨から私を守り抱きしめてくれた。

ずっと隠してた淋しさ全部を、なんてことなく包み込んでくれた。

その志田の知らなかった温もりから始まったんだよね…。

志田がいなかったら…今頃どうなってたんだろう?

理佐がまだ好きで、理佐とねるが付き合った現実に立ち直れなかったかも。




志田が好き。ねえ、好きなんです。
こんな風に淋しくなる夜ほど、志田に会いたくなって、ぎゅっと抱きしめてほしくなる。


志田の温もりが傍に欲しいよ…。




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