好きですか?
□第5話
1ページ/1ページ
それから、理佐に前ほど絡むことがなくなった。理佐を困らせたくないし、時間が解決するかなぁって。
理佐とねるが付き合ったって、クラスで話題になった。それを聞いた時、何も思わず、素直に「おめでとう」と思うことが出来た。
そう思えるようになったのは、志田のおかげ。私がどんどん志田に惚れていってるから…ってなんか認めたくない。
最近、私は志田と一緒に帰っている。
あの放課後がきっかけで、志田と一緒に帰るようになった。何気あの時、30分ぐらい寝っちゃってたのに、志田は待っててくれたんだよね。
なんで待ってたのか分かんないけど。
でもそのおかげで、今もこうして一緒に帰れている。
教室に私と志田、二人きりになって教室を出るから、友達は私が志田と一緒に帰ってることはまだ知らない。
隣に志田がいて、一緒に帰る日が来るなんてあの頃の私は知らないだろうし、あの頃は、隣に理佐がいることだけを考えてたなぁ。
「ねえ」
「なに?」
「理佐とねる付き合ったらしいけど…その…」
「らしいね」
「大丈夫…なの?」
そっか。志田は私の告白シーンを見てるから、私が理佐を好きだと思ってるのか。
あなたのおかげでもう吹っ切れました。
なんて、言えない。
きっとまだ、言えない。
「大丈夫だよ。お似合いだよね」
私がそんなことを言うとは思ってないあなたが、すごく目を大きく開いて驚いてる。
志田ってこんなに感情豊かなんだ。
「そんなに驚いてどうしたの?」
前に、志田がからかってきたときのように。私もからかってみる。
「……別に。心配しただけ。」
からかわれて、拗ねちゃってる。
あ〜可愛い。
ねえ、なんで。
志田って可愛かったっけ?
いつも喧嘩ばかり私としてたから、ただただウザイやつで認識してたのに。
ほんと、調子狂う。
そんなふうに楽しい時間もあっという間に終わり、分かれ道が見えてくる。
私はここを左、志田はここをまっすぐ。
「じゃあ、また明日」
「うん、またね。」
手を振る分かれ道も、今では淋しいと思う。
隣に志田がいない帰り道は、すごく淋しくて、話し相手がいなくて面白くない。
さっきまで一緒にいたのに、今すぐ会いたい。
会って想いを伝えたい。
私が志田に「好き」と伝えたら、志田はどんな顔するのかな?
また、目を大きく開いて驚いた顔を見せるかな?少しは照れてくれるかな?
あ〜どんな顔するのか考えるだけで頬が緩む。
理佐のときより、人を好きになってる気がするし、恋を楽しんでいる気がする。
でも、志田が私のことなんて好きなはずないよね…また振られるのかな〜。そう考えると告白する勇気なんて出ない。
今度は志田みたいに励ましてくれる人なんて現れないだろうし。
想いを伝えたいけど怖い。
ベッドに入っても、考えるのは志田のことばかりで眠りになんてつけない。
急に雨が降り始めた、あの日。
“そんなに強がらなくていいよ”
と、突然言って、雨から私を守り抱きしめてくれた。
ずっと隠してた淋しさ全部を、なんてことなく包み込んでくれた。
その志田の知らなかった温もりから始まったんだよね…。
志田がいなかったら…今頃どうなってたんだろう?
理佐がまだ好きで、理佐とねるが付き合った現実に立ち直れなかったかも。
志田が好き。ねえ、好きなんです。
こんな風に淋しくなる夜ほど、志田に会いたくなって、ぎゅっと抱きしめてほしくなる。
志田の温もりが傍に欲しいよ…。
続