好きですか?

□第4話
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翌日。
志田が気になって気になって仕方なかった。理佐のことよりも志田…って私こんなにチョロかったっけ。

あんなに理佐のことが好きだったのに、昨日から考えるのは志田のことばかり。

学校のときも、無意識で志田を目で追ったり。そのおかげで友達に「なんで志田ばっかり見てるの?」ってツッコまれたり。

なんだか、調子が狂う。

でも、志田のことが気になり始めて。
理佐に囚われないで済むからよかったかも…なんて。志田に失礼か。

最近、理佐もいい感じらしいし。
見てたら分かる。理佐があの時言った、“好きな人”が誰か…。

ねるなんだよね、きっと。
そうだよね、ねるは可愛いし頭もいいし運動もできるし、守りたくなるし。

理佐が幸せならなんだっていいけど、友達に戻りたい。

もう、恋愛感情で好きとかじゃないから…。

ただ普通に、好きだから。


…ってまだ時間かかりそうだな。






「何してるの。」

突然声をかけられ、顔を上げる。

青いヘッドホンを首にかけてる、志田が目の前に立っている。

「…え?」

教室には私と志田以外誰もいなくて、夕日が教室に差し込んでいる。

「帰らないの?」

あれ、志田のこと考えて…理佐とねるのこと考えて…あっ、私寝ちゃってたのか。

「志田は何してんの」

「別に。寝言うるさいから聞いてた。」

「えっ!?」

私、普段寝言言わないはずなのに…。
もし、志田とかの名前出てたら…
あー。また聞かれたくない人に聞かれちゃったな。

私が本当に焦りはじめた時、上の方でハハッと笑い声が聞こえた。

「嘘だよバーカ。」

そう言いながら、私をからかう姿は、とても輝いてる笑顔を見せて、胸がまた激しく踊る。

「うるさい」

「焦ってる顔、最高」

いつまでもからかってきてずっと笑ってくるから、私もつられて笑ってしまう。

…志田といるときってこんなに楽しかったっけ。

あれ、志田の笑顔、こんなに可愛かったっけ。

志田ってこんなに愛しかったっけ。

今まで、志田に触れたいって思ってたっけ。

志田に抱いたことのない感情が、今溢れ出てきて、抑えるのに必死。


二人で笑い合っていて、落ち着いた頃。
志田が私を見つめてきた。

このまっすぐすぎる瞳で見つめられるの、すごく恥ずかしい。

逸らしたくても逸らすことが出来ない、吸い込まれそうな瞳。


「なっ、なに?何かついてる?」

「そっち」

「え?」

「そっちの方がいいよ」

「は?」

「理佐に見せるあんな笑顔じゃなくて、こっちの方がいい、可愛い。」


サラッとドキッとすることを言うのは、なんだろう。

あんな笑顔って…苦笑いがバレてるんだ。

たしかに、こんなに心から笑ったのっていつぶりだろう。
理佐に振られてから上手く笑えてなかった気がする。


志田も。こんな風に笑うんだ。
楽しいこととかあんまり好きそうじゃないって思ってた。

私はまだ志田のこと何も知らないんだな。


ねぇ、もっと志田を知りたい。
もっと一緒にいたい。
ずっと笑っていたい。

志田と一緒にいたい。

そう思うほど、私、相当おかしくなっちゃった。

どんどん志田に溺れていく。





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