好きですか?

□第2話
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こうなるなら告白なんてしない方がよかった。前までの関係が崩れるなら告白なんてせずに、自分の中で秘めてればよかった。

まるで他人かのように。
ただのクラスメイトのように。

目が合ってもすぐにそらされ、話しかけても「うん」とか「分からない」だけ。

私は友達に戻りたくて、頑張っているのに。なんでこう避けられるの?

友達からも心配されるほど、私たちの関係は180°変わったみたい。


私の精一杯の“強がり”もそろそろ壊れてしまいそう。


そんな日が何日も何日も続いた。

一体どうしたら、君と戻れるのだろう?
今からタイムマシンでも作って、あの日に戻して告白する自分を止めたい。

一人で夢みたいなことを考える帰り道は、すごく寂しく感じた。


ポタッポタッ


頭や全身が冷たく感じた時には遅く、急に雨が降り始めた。

雨を見るとあの日を思い出して、泣きそうになってしまう。

走るのはなんだか面倒くさくて、地面の色が変わるところを見ながら歩いて帰る。

早く君を忘れたい。




ドンッ


「すみま…」

「そんなに強がらなくていいよ」

ぶつかった人の身体から顔へと視線を動かすと、思いもよらない人が。


…志田愛佳。


「…え?」

私とあんまり仲良くないのに、なんでここにいるのだろうか。

仲良くないのに、なんで。
この人の前で泣きそうになっているのだろうか。

両腕を伸ばして、私を雨から守るように傘を作って。濡れながらまっすぐに私を見ている。


“そんなに強がらなくていいよ”
たったの一言が、すごく温かくて。
心の傷にどんどん染みてきて。

いつもはこんな姿見ないから。
不意のやさしさに息を潜めて、わがままな愛しさが溢れ出てきた。

そんな志田の腰に腕を巻き付かせ、涙を隠すように志田の胸に飛び込んだ。

志田の身長と私の身長がいい感じに合い、安心さがさらに増す。


今までこんな風に志田を見たことなかったけど、胸が高鳴っているのはなぜだろう?

きっと私が弱っているからだよね…。


いつもは喧嘩してばかりなのに。
志田の優しさが痛いほどにどんどん染みてくる。

“そんなに強がらなくていいよ”
って志田が言った言葉。
なんで、私が強がっていること知っているの?何も知らないはずなのに。


背中に届いてる志田の手がトントンと心地よく触れるから、止まりかけてた涙がまた出てきそう。

顔を上げて、志田を見ると。
まだまっすぐに私を見てた。

見つめ合っている瞬間、時が止まっているよう。

そんなことを考えてた瞬間、手を握り腕を引かれ歩き出す。

私の手を引いてどこへ向かってるの?






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