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□青くて、脆い。/*kazunari*
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みんなでパンを買った後、屋上へ向かった。



校庭の桜が風に乗って花びらを散らせる。

屋上に積もった花びらがヒラヒラ舞って




雅「なんか花見してるみたい!」

和「みんなパンだけどな」

潤「わかるよ、花びら舞ってて綺麗だよね」




なんて言いながらじゃれ合ってる時

翔さんが口を開いた。




翔「・・・弁当作ってもらってるんだ?」

「ううん、あたしが作ってる。妹と弟の3人分」

翔「兄弟の分も?」

「うん、ウチ親いないから」




援交やってるって噂のめいの事を翔さんはずっと嫌煙してて、まさかめいが親代わりになって弁当作ってる事に驚いたみたいだった。







やっぱり。

まともに親がいて愛情注がれてたら

あんな瞳にはなんねぇもん。

俺と似てる。







それからは俺と大野さんのクラスでいつもの5人に加えて、めいも一緒に昼飯を食うようになった。



初めてめいがクラスに入って来た時のざわめきは相当で、居心地が悪そうなめいに




智「これからは一緒に食お?俺ら友達でしょ?」

「トモダチ・・・?なんか照れる・・・」




大野さんはサラッとカッコイイ事言っちゃって。



あー、こうやって誰も寄せ付けなかっためいの懐に潜り込んだのか。

って焦りを抑える為に奥歯を噛んだ。




聞けば帰る方向が俺と大野さんと同じで

バイトが無い日はよく3人で下校した。



でも、どうやら2人は近所に住んでるらしくて

俺だけひとつ手前の駅で下車する。




何の話するの?

アナタどんな顔して大野さんを見てるの?




毎日毎日ひとつ手前の駅で降りては嫉妬心に駆られた。








春の終わり。

言葉遣いが汚かっためいの口調が

だんだん柔らかく、女の子らしくなって来た頃。

同時に大野さんも色気を纏うようになって。






すぐに分かった。

ああ、この2人ヤったなって。



めいが大野さんを見る瞳と、大野さんがめいを見つめる瞳がウザイくらい同じで。



2人の間には言葉で表せない愛があるんだって

見せつけられた気分だった。




だから俺は

その仲をブチ壊したかったの。




和「ねぇ大野さんとヤったの?」

「・・・サトシが言ったの?」

和「ううん?でも2人見てたらわかる」

「・・・そっか」

和「でもさ。付き合ってないんだよね?」

「・・・え、」





・・・やっぱり。

付き合おうとかそういう言葉は貰ってないんだ。



大野さん、ありがと。

俺にも勝算、あるかもね?




和「ねぇそれってさ、セックスフレンド?」




俺の一言で、めいの瞳は色を失う。
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