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□あいのかたち/3
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大人な貴方/S
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「申し訳ございません、はい、すぐに確認して折り返しお電話致します。はい。・・・失礼致します」




後輩のミス。

だけど私のミス。当たり前だ。それが先輩。

尻を拭ってやれなきゃ後輩を育てる資格はない。



だけどやっぱり電話越しに怒鳴られると

歯を食いしばっていても心が折れそうになる。




翔「・・・どした?先方から?」

「翔くーん・・・」




テレビを見ていた翔くんが私の方へ振り返り

おいでって手を広げて抱きしめてくれる。




翔「怒られちゃった?・・・よしよし、大丈夫」




10個も年下だからか、翔くんは時に私を子供みたいに扱ってくれて。



いつも気を張っている私には、

そんな翔くんにだから心を許せる。

唯一の、大切な存在。




「先方が怒るのも納得する内容だったの。だからしょうがないの」

翔「いつものあの後輩くんがやらかしちゃった?」

「そー・・・。確認して折り返さなきゃだけど・・・」

翔「あとちょっとだけ、ぎゅってしようか」

「・・・お願いします」




爽やかなムスクの香り。翔くんの匂い。



抱っこでぎゅって抱きしめられると

イライラも、モヤモヤも、不安も。

いつの間にかスーって解けていく。



翔くんって、不思議。




翔「・・・俺も手伝おうか?」

「うん!・・・って言いたいとこだけど」

翔「自分でちゃんとやるんだよな?」

「私が自分でやらなきゃね。先方に失礼だもん」




よし、と気合を入れた私にチュッとキスした翔くんが


「頑張り屋なとこ、凄い好きよ?」


って、甘い言葉をくれるから

辛い時に思う存分甘えられるんだなって。


ノートPCを立ち上げながら、私に向けた広い背中に

ありがとう。と頭を下げた。


end.
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