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□あいのかたち/1
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お花を一輪、あげましょう。2/A
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「誕生日おめでとう、雅紀くん」

雅「ありがとめいちゃん」




真っ暗の部屋の中、ケーキのロウソクを勢いよくフーっと吹き消した雅紀くんに手を叩いて祝福する。



雅「今年もクリスマスと誕生日のお祝い一緒になっちゃって・・・なんかごめんね?」

「なんで?クリスマスイブが誕生日なんて素敵じゃない?」

雅「そう言ってくれてありがと」





雅紀くんが大好きだから、テーブルに並ぶのはローストチキンじゃなくて唐揚げ。


それからピラフにサラダにスープ。

たくさん食べたら最後にいちごのケーキを食べる。


そして最後に誕生日プレゼントをあげるんだけど・・・





「ねぇ、ちょっとお店の方行ってもいい?」

雅「店?忘れ物でもした?」

「ううん、せっかくの誕生日だからお花飾りたいなって」

雅「なるほどね、いいね」





私が欲しいお花はもう決めてある。

何日か前に入荷したのを見てたから。






「これ。これ一輪下さい」

雅「アングレカムかぁ。いいね、僕もこの花好き」



バケツから一輪だけ抜いた雅紀くんが

リビングに持って行くまでの簡易包装をして、

私に「はい、どうぞ」と手渡す。




「はい、雅紀くんにあげる」

雅「ん?僕?飾るんじゃないの?」

「アングレカムの花言葉。『いつまでも、あなたと一緒』。これ、私の気持ちだよ?」

雅「めいちゃん・・・」




受け取ったアングレカムと私を交互に見た雅紀くんの目に、うっすら涙が溜まる。




雅「ありがとめいちゃん。・・・じゃあ僕からも一輪」




ショーケースの中のバケツから

黄色い花びらを付けた花を取った雅紀くんが

「はい、僕からもどうぞ」

私に一輪手渡した。




「・・・いい香り。これはなんていうお花?」

雅「ユリオプスデージーだよ」

「へぇ・・・可愛い」

雅「ユリオプスデージーの花言葉は『夫婦円満』」




そう言ってにっこり笑った雅紀くんが

優しく私を抱きしめる。




雅「めいちゃん。僕と、夫婦になってくれますか?」

「・・・うん。嬉しい、雅紀くん」

雅「この花みたいにさ、明るい家庭を築いてこうね」





向日葵みたいな雅紀くんと一緒なら

この先ずっと、明るく笑っていられる気がするよ。



お誕生日おめでとう、雅紀くん。



end.
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