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□黒猫MoonLight/4*satoshi*
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玄関先で靴を履く彼に


「大野くん、また一緒にご飯食べようね」


チカがそう言うと


智「うん、ご馳走様。トモくん、今度一緒にゲームすっか」

「うん!俺、ゲームなんか用意しとく!」



彼はトモの頭をワシャッと撫でた。






街灯だけが灯る静かな住宅街を二人で歩く。




智「・・・あ。・・・月」




立ち止まった彼が光射す空を見上げた。




「ほんとだ。・・・綺麗」

智「・・・めい。公園、行こっか」




彼に促されていつもの小さな公園に入って

自分の特等席に座ると

カンカン音を鳴らして階段を登ってきた彼が

「うんしょ」と狭いその場所に腰を下ろして

後ろからあたしを抱っこした。





「・・・ちょっと。狭い」

智「いまさら照れるなよ(笑)」




あたしが照れてるのに気付いた彼は

ふふっと笑って暗闇に輝く三日月を見上げた。




智「ねぇ、めい」

「・・・ん?」



彼が、後ろからギュッと抱きしめて

あたしのほっぺに自分のほっぺをくっつける。




智「チカちゃんだけじゃないよ」

「・・・何が?」

智「俺にとっちゃ、めいだって普通の女の子だよ」




彼はそう言って、月を見上げながら『あの歌』を歌った。





それは昔、お父さんと過ごした時のようで。

さっき彼が誰かに似てるって感じたのはお父さんだったんだって

酷く懐かしさを感じる時間だった。





彼は心だけじゃなく、歌声までも綺麗で

あたしも月を見上げながら

何故か涙が出た。


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