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□黒猫MoonLight/4*satoshi*
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俺がキスをすると
彼女は顔を赤らめた。
それは夕日に顔を照らされていたからなのか
照れていたからなのかは分からないけれど
彼女の唇が『サトシ』と動いて
切なく瞳を震わせる。
彼女の髪を梳いて
今度はこめかみにひとつ。
そして丸くカーブのかかったおでこにひとつ。
ゆっくり
ゆっくり
キスをすると
彼女の瞳から
ポロンと一粒涙が溢れる。
智「・・・めい?」
「サトシ・・・」
智「どしたの?何で泣くの・・・?」
まだ半乾きの髪の毛を左手でかき上げると
もう一粒涙を流した彼女が
俺の制服のシャツを両手でギュッと握った。
「わかんない。でもなんか嬉しい・・・」
彼女の涙が嬉し涙と分かって
ふふっと笑って見せると
彼女も同じようにふわりとした笑顔を見せて
俺の首にギュッと腕を回すと
耳元で『サトシ』と
まるで愛を囁くように俺の名を呼んだ。