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□黒猫MoonLight/1 *satoshi*
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いつもの教室。


いつもの黒板。


いつもの仲間。


いつもの笑い声。





3年に進級してクラスが変わっても

何も変わらない日常。





俺の机の周りに集まって話す

いつもの4人の声に耳を傾けながら

窓の外に目をやれば




満開に咲き誇った桜が


『私の生涯を見届けて』と


沢山の花びらを風に乗せる。





少しだけ窓を開けて

掌を上に向けたら


ヒラヒラと一枚、桜の花びらが

俺の手の中に舞い込んできて。


その、美しく短い生涯を

優しく握り締める。







和「大野さん、なに持ってんの?」






ニノの声に3人の目が俺に向けられる。





智「・・・桜の花びら」

潤「外すげ。桜吹雪じゃん」

翔「智くん去年も同じ事してなかった?(笑)」

智「・・・ん、してたかも」






だって桜の命は一瞬だもん。

もう一週間もしたら全部なくなっちゃうじゃん。







再び窓の外に腕を伸ばして

ゆっくり掌を開けば

桜の花びらが、俺の掌から

ひらひらと風に吹かれて飛んでいく。




その様をボーッと眺めてると

もうそろそろ昼だというのに

正門から入ってくる女子生徒が見えた。
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