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□青くて、脆い。/*kazunari*
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俺が中学の頃、親父が死んだ。



ろくに働きもしねぇくせにギャンブルばっかりする馬鹿な親父で。



たらふく借金作った挙句、それを母さんに押し付けて首を吊った。



俺たち家族に残ったのは

多額の借金と親父の骨だけだった。




朝から晩まで身を粉にして働く母さんが可哀想で、俺も中学を卒業したら進学せずに働く気でいた。




「お金のことは気にしなくていいから、高校だけはちゃんと行ってね」




母さんがそう言って泣くから、渋々高校へ行った。






入学式の日、同じ1年が集まる体育館を見渡せば

今まで何の苦労もしてきませんでしたって顔に書いてある能天気な連中ばかりで。



俺も何もなかったフリしなきゃなってうんざりしてた時、その子が視界に入ってきた。




肩までの髪を栗色に染めて、制服を着崩しためいは

まるでこの世の全てに絶望したような目で

誰とも話さず列に並んでいた。




もしかして、あの子も俺と同じなのかなって

仲間を見つけたみたいにドキドキした。




他の誰よりも飛び抜けて綺麗だっためいは

「可愛い子がいる」と、たちまち騒がれた。



男子も女子も、色んな奴が話しかけに行ったけど

ひとりとして相手にはされず目をそらされた。



それを傍から見てた俺は、声をかけるのは卒業式まで待とうと決めた。



この学校の誰とも関わりがなくなるその瞬間

めいを俺だけのモノにしたかった。

同じ瞳の俺らなら、絶対分かり合えると思ったんだ。




めいの事が好きだって言っても溜まるもんは溜まる。



俺の事が好きだって言ってくる女と

適当にセックスして欲を満たしていた時

めいに援交してる噂が流れ始めた。




2年で流れた黒い噂は3年になっても消える事はなくて、その煩い声をシャットアウトするみたいにめいの耳は常にイヤホンで塞がれていた。



学年の誰もがめいを避ける。



めいが近くに来たらヒソヒソと陰口を囁く女子。

援交してると噂のめいは、完全に孤立した。






3年に進級した春。

いつもの5人で、購買に昼飯を買いに行こうと廊下を歩いていた時。



1年の時からつるんでた友達の内のひとり。

いつもボーッとしてる大野さんに、めいが話しかけた。




「サトシ!」




俺の知らない所で仲良くなってる事に

嫉妬心と焦りが生まれた。




いつ知り合った?

いつ仲良くなった?

いつファーストネームで呼び合うようになった?




俺の方が先に見つけたのに。



俺が。俺が。俺が!



腹の中でドロドロのマグマが煮立って苦しい。



だから俺は、2人の仲を引き裂く事にした。




和「ねぇ。昼飯、俺らと一緒に食わない?」




大野さん、その子は俺が先に見つけたんだよ?



俺も仲間に入れてよ。
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