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□虹の花/3 *satoshi*
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智さんの言うように
発作はしばらくして治まった。
初めて会ったあの時以来
智さんが発作をおこす事はなかったのに。
・・・いや違う。
月に一度しか会う事がなかった私が
知らなかっただけかもしれない。
本当は今日だけじゃないのだろう。
きっと、ここでこうして会う事が
智さんの負担になっていたんだ。
考えればすぐにわかる事なのに
恋に浮かれていた私は
そんな簡単な事も想像できなかった。
自分が馬鹿で、悔しくて
悔やみきれない事をしてしまったのだと
涙が溢れた。
智「めいさん?・・・泣いてるの?」
ぽたぽたと零れ落ちる涙を
一つ一つ、優しく智さんが拭う。
智「僕ね、もう長くないんだって」
智さんの静かな一言に
ドクンと、胸が嫌な音を立てた。
私のせいだ
私のせいだ・・・!
智さん・・・!
智「本当はね、この町にくる前からあと少しの命だって言われてたんだ」
「だからめいさんが思いつめる事は何もないよ」
自分を責める私を、智さんが優しく気遣う。
智「・・・でも。最期にめいさんに現世でも会いたくて。だから、またここへ来たんだよ」