true love

□ー29ー
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セレナで桐生たちに祝ってもらったその夜…
塔子は風間邸に一人で帰っていた

「お姉さん、どう?キャバクラで働いてみない?」

後ろから男にスカウトされたのだが
聞いたことがある声だったので振り返ると

「え、塔子さん?」

「秋山くんじゃない。こんなひと気のない所でスカウトなの?」

「いやその…あまりに綺麗な人だったからスカウトしようとしてたんですけど、まさか塔子さんだったなんて分かりませんでしたよ」

「久しぶりね」
「ええ、ほんとに」

秋山はセレナの上のテナントで金融会社、スカイファイナンスの社長をしている

「エリーゼだっけ?人、足りてないの?」
「ボチボチですね」
「そっか」
「少し見ていきません?」
「そうね、行くわ」

秋山に誘われ、エリーゼの中を見物することに。


ーエリーゼー

「ああ、オーナー。どうでした?おお!美人な方ですね!No.1になれますよ!」

塔子を見て笑顔で言う店長の田沼

「あーいや、この人は違うよ。見物」

「え、そうなんですか…中道通りにはいませんでした?」

「なかなかいないね。このままだと経営厳しいな」
「そうですか…はぁ」


店長であるなかなかのイケメン田沼と社長の秋山は頭を掻く

「リリさんが辞めてから、お客様が激減ですよ」

「リリ?」
「前、ここにいたキャストです」
「そうだったんだ」
「ちなみに俺、惚れてたんですよねぇ」
「へえ、振られちゃったの?」

「いや、気持ち伝えられないまま別れてしまって。もう3年くらい前の話ですがね」

「そっか…それは辛いよね」
「……!」

そう言って秋山の頭を優しく撫でる塔子
すると秋山は

「塔子さん!」
「な、なに?」
「ここのキャストになってくれませんか?」
「え…」

秋山はスカウトしてきた

「無理よ、私キャバクラなんて出来ないわ。
東城会の仕事と掛け持ちなんてキツイよ」

「じゃあ1週間でいいです!今月末までに売り上げあげないとここは潰れてしまうかもしれない」

「私からもお願いします!」

店長の田沼からも頭を下げられた

「───私がNo.1になれる保証も、売り上げを上げれる保証も出来ないわ」

「お願いします。塔子さんならきっとなれる」
「私もそう思います!」

二人に深々と頭を下げられてしまった

「ハァ…分かった。協力してあげる」

「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ありがとうございますっ」

こうして塔子はキャバクラの仕事を1週間することになった

「それじゃあ早速、ドレスアップしましょう」
「え、今日から?」
「都合悪いですか?」

「今日私誕生日なの。もう疲れたから寝たいんだ。帰ろうとした所で秋山くんに引き留められたんだもん」

「そうだったんですか、おめでとうございます塔子さん」

「私からも言わせて下さい。おめでとうございます!」
「ありがとう、二人とも」
「それじゃあ明日からでいいですよ。な、店長」

「はい、もちろんです!自分は田沼といいます」
「改めて、風間塔子です。宜しくお願いします」

マドカという名前にして、塔子はエリーゼを出た

「塔子さん、送りますよ」
「ううん、大丈夫よ」

「いや、送ります。風間さんに挨拶させて下さい。キャバクラで働くこと、言っておかないと」

秋山は塔子の背中を軽く押した

「わ、わかったわよ;」

話しながら帰った
風間邸の前に秋山は立ち止まった




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