*すみません、どなたですか

□⒉遺跡の進み方
2ページ/2ページ



長い廊下が続いている。何もない廊下だ。
廊下の端まで行くと、一本だけ不自然に立つ柱の真横にFriskがいた。1人で。


「すぐに来るかと思って待ってたけど、遅すぎだよ!やっぱり置いて行って先に進んでおけばよかったかなー」

『なんてこった、私の親愛なる従妹がこんなに冷たい…!ところでTorielさんは?』

「ママならここで待っててって言って先に進んじゃった。何か用事があるみたい」

『…ママ?』

「あ、Toriがママって呼びたいって言ったらいいって言ってくれたの」


すごい軽いノリで従妹に新しいママが出来てました。
軽いな!


「なんかすごく嬉しそうだったよ」

『じゃあ私も呼んでみようかな!』

「うーん…喜ぶといいけど」

『それは暗に私が言っても喜ばないかもしれないと…?』

「よし、先に行こう!」


Friskはとてもいい笑顔で前を向いている。え、ちょ、Friskさん?


『否定して⁉ていうか待っててって言われたんじゃなかった?』

「いいのいいの、さぁ、行くぞー!」


いいのかそれで…お姉ちゃんちょっとキミの未来が不安だよ。




◇◇




廊下の続く部屋を出ると、Torielさんから電話がかかってきた。
偶然渡された携帯が気になって弄ってたところだったので私が出ると…Torielさんが、もしかして部屋から出たりしてないわよねって…出ちゃったよ。勘が良いなぁ、実はカメラで監視してたりしないだろうか。

「あ、Froggitがいる。こんにちはー」

私が電話で対応している間にFriskがカエル似の…Froggitに話しかけていた。


『Friskは電話にでんわってか…』

電話の向こうでTorielさんがクスクス笑っている。ごめんなさい、寒いですよね!
くっ、私はこんなジョークを言うタイプだっただろうか…?
よく考えてみれば……ジョークは昔から割と好きだった。Friskを笑わせようと引き取った当初はダジャレの連発。懐かしい。どうやら私はジョークを言うタイプだった。

Froggitはやはり人間にみえる。今度のFroggitは先ほどの少年Froggitよりは年上そうだが…少年Froggitと背丈がほとんど変わらない。そう言う種族なのかな?
げこげこと言っている…ジェスチャー的には「ねぇねぇ」と話しかけている感じだ。


《ちょっと良いかな、人間さん》


今度はアナウンスキターーーーッ!
Friskと別れる前に流れた声とと同じ声だ!翻訳してくれているらしい、正直助かる。きっと今頃Friskの目には同じ内容の書かれたボードが見えていることだろう。相変わらず私には見えないが。
ところでこのアナウンス…さっきは聞こえなかったのに今は割と近くから聞こえるんだけど、どこから聞こえているんだろう?


ACTで特定の行動をとるか FIGHTで相手を弱らせたら、相手はそれ以上バトルをしたがらなくなるだろう。もしモンスターが戦いを望まなくなったら、どうか……MERCY、で停戦しておくれ》


「ACTって、さっき出て来た相手についての情報とか話せるやつだよね…FIGHTはまだ選んだことないなぁ」

『選ぶの?』

「ちょっと気になってるけど…まあ、できる限り話してみようかな」

『そっか』

皆殺しとか言わなくてホッとしたよ。


「ねぇ、さっきから何やってるの」

『スピーカーを探してる』


アナウンスがどこから聞こえるのか気になって仕方なくて…。
結局、Friskに怒られてスピーカーは見つからぬままに渋々やめた。Friskのいる方から聞こえるんだけどな。


《*戯けてカサカサと木の葉の上を通り あなたは決意で満たされた》


Friskが何を決意したかはわからないけど、私はFriskにバレないようにアナウンスの音源を見つけ出すことを決意したよ!

「セーブ、っと。よし、次はこっちの部屋に行ってみよう!」

お、アメの部屋だ。

《「おひとつどうぞ」とある。キャンディーをとる?》

「キャンディー!1個持って行こうっ」


Friskは歓喜に満ち溢れている。


『じゃあ私は2個もらおう』

「え、おひとつって書いてあるよ?」

『おひとつだけ(・・)とは書いてないからね〜』

「屁理屈言わないで…って、取っちゃった!チョコレートもまだ残ってるのに…ずるい」

『Friskも取ったら?』

「おひとつって書いてあるから1つでいいもん」

今日も従妹が可愛い。


*嬉しそうな従妹をみて あなたは慈愛で満たされた。
次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ