いちだんめ。
□好き、より、好き。
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【愛佳】
一目惚れだった。
大学1年の夏、高校の時からの友達に紹介されて出会ったのが理佐だった。最初は人見知りされて、よそよそしかったけど、だんだん打ち解けて話してくれるようになってから好きな気持ちが増して、その年の冬に告白して付き合うことになって、すぐに一緒に住み始めた。
付き合う前から、恋人に好きって言えないとか、サプライズが苦手って言ってたんだけど……さすがに1年間ほとんどそういうのが無いと、不安になるというか。
誕生日もクリスマスもバレンタインデーも全部私から。
「ありがとう」って喜んでくれるけど、好きとかはあまり言ってくれない。
私が、好き?ってきいても「うん」しか言わなくて…ちょっと心が折れかけている。
そんな中、もうすぐ私の誕生日なんだけど……。
『理佐〜、もうすぐ一緒にお酒飲めるね!』
「うん、そうだね。」
『お酒って美味しい?』
「うん、美味しいよ。でも愛佳飲んだら酔ってめんどくさくなりそう。」
『私めんどくさい?』
「自覚ないの?」
『ない。全部愛だもん。』
「たまに愛佳の愛情は私を通り越していくよね。」
『好きだもん。』
「…うん。」
『理佐は?』
「……うん。」
『……。』
「あ、お風呂わいた。』
…またはぐらかされた。最近女の子の日が重なってエッチもしてないから、なんかすごく寂しくて、泣きそうになる。
でも、これ以上面倒だって思われたくないから、ちょっと外に出てくるねって置き手紙をして、夜の公園に来た。
もう冬の入り口。夜になると流石に冷える。そんな風さえ、今は心地いいって感じるほど、私はどうかしてたんだと思う。
家に帰ったのは2時過ぎ。なのにまだ理佐は起きていた。
「遅い。どこ行ってたの?携帯もおいて。」
『ごめん、散歩してた。』
「そっか。身体冷えちゃうからお風呂入りな。」
『うん…。』
「あったかいスープも作ってあるから、飲んで。」
『ありがとう。』
こういう優しさや気遣いは凄く嬉しいんだけど、正直友達でもできるよねって思っちゃう。
私たちは、恋人なんだよね?って…。