いちだんめ。
□夕立と幼馴染
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【小池】
昨日までなんとも思ってなかった。幼馴染やし、昔は泣き虫で私の方が気も強かったし…男子として意識したことなんて一度もなかったのに…
なんでか急にあんなこと言い出すから、もうあんたの顔しっかり見れへんくなって…ドキドキして…。
バカ。
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私と土生君は幼馴染で、家が向かいだったり父親同士が友達やったりで、家族ぐるみの付き合いも多かった。
ひょろっこくて泣き虫な土生君を、私とお姉ちゃんでよく守ってあげたりもした。その度にいつか僕がみなみちゃんを守るんやって言ってくれてたけど、土生君には無理やろなーって思って、笑い飛ばしてた。
中学に入って、お互い好きな人ができたときには相談し合った。私の恋は見事に散ってしまったけど、土生君は背も伸びて顔もシュッとして「王子様」なんて呼ばれてたもんだから、すぐに彼女ができた。
「土生君に彼女かぁ。ちゃんと守らなあかんで。」
『もう昔みたいに泣き虫じゃないから大丈夫だよ。』
「ほんまかいな。あ、キスしたら教えてな。」
『はぁ?教えるわけないやろ!』
「ええやん別にー。」
そんな話ができるほど、本当に、土生君に特別な感情を抱いたことなんて一度もなかった。