短編

□木漏れ陽
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如月side



結局理佐に愛佳とのことを弁解も出来ないまま時間が過ぎ、あっという間に放課後



『はぁ…じゃあ俺帰るわ』


愛佳「ちょっと待って!」


織田「今日私と愛佳と茜用事があって理佐と帰れないんだよ…」


茜「だから、理佐のこと家まで送ってあげて?」


『え、俺はいいけど…理佐はいいの?』


理佐「…うん」



こんな些細なことにも喜びを隠せなくて、にやけてしまいそうになるのを必死に我慢する



『じゃあ行こっか』


理佐「うん。皆じゃあね、ありがと」


「「「またねー!」」」



理佐を連れて校門まで歩き、ちょっと待っててって言って駐輪場に自転車を取りに行くと…



愛佳「よぉ、また会ったな笑」



そういうことか…



『…確信犯』


愛佳「あれ、バレてた?笑」


『今バレた。笑』


愛佳「まあいいや。そんなことより上手くやれよぉ?二人っきりで帰るなんて今まで無かったでしょ?」


『まあなー。頑張ってみるわ』


愛佳「いっつも口だけだからなぁ」


『そんなことばっか言ってると明日のハーゲンダッツはなしって方向で…』


愛佳「嘘だって!零なら出来る!頑張れ!」


『おう!さんきゅー』



愛佳に手を振って理佐の元に行く



理佐「遅い」


『ご、ごめんごめん。笑 じゃあはい。後ろ乗って』



よいしょ。なんて言いながら自転車の後ろに座る理佐。可愛すぎるんですけど。



理佐「…お願いします」


『おうよ』



自転車を漕ぎ始めると理佐は俺のお腹に腕を回していて、そんなことでいちいちキュンとしてしまう



理佐「なんか喉乾いた」


『コンビニ寄る?』


理佐「うん」



途中のコンビニで飲み物とアイスを買って、近くの広い公園の木の下に自転車を停めて座り込む



『涼しいっしょ?ここ俺のお気に入りの場所』


理佐「めっちゃ涼しいね」



今しかない。そう思った。



『理佐、あのさ』


理佐「んー?」



理佐は俺の目すら見てくれなくて。さっきの決意が嘘みたいに消えていく



『…何でもない』


理佐「何それ。笑」


『ごめんて。笑』



木の枝と葉の隙間から太陽の光が透けるように見えて。理佐の気持ちもこんな風に透けて見えればいいのに。







高校生にもなってそんなことを考えてしまう








そんな夏が今始まった。



END.


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