短編

□愛の避雷針
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その日の放課後、平手さんがいなくなった教室で、聞きたくない会話を聞いてしまった




女1「平手さん、無愛想すぎない?」


女2「いじめられて転校してきたんだよきっと」


女3「関わんないようにしよ?」




その会話にイライラして、一発ガツンと言ってやろうとその女子集団の方に行こうとすると、腕を掴まれ止められる




ねる「ちょ、零!怒る気持ちもわかるけど、後先考えないで言っちゃうとまた後悔するよ?」


『今なんもしない方が後悔する』




ねるの手を振り払い、再び歩き出す




『おい』


女1「ん?如月くん、どうしたの?」


『さっきから聞いてりゃあることないこと言いやがって。お前ら平手さんの何を知ってんの?』


女2「ちょっと、急に何?如月くんには関係ないじゃん!」


『そういう会話聞いてるとイライラすんだよ。気持ち悪い』


女3「…っ、いこ?」




女子達はなにかに気づいて、逃げるようにその場を去る




『おい、まだ話は、』




また腕を掴まれる感覚




『ねる、今話してる途中、』


平手「なんで?」


『平手さん…』


平手「なんでそんなに私を庇うの…?」


『…俺も昔言われたい放題でさ。わかるんだよ。その辛さ』


平手「別に辛くない」


『そんな目腫らしてよく言うよ』




平手さんの目を見ると、赤く腫れていた。きっと泣いた後だろう




平手「…っ」


『今度からなんか言われたら俺に言って』


平手「そんな迷惑かけられないよ」


『迷惑じゃないから。ただ俺がムカつくだけ』




そこにねると愛佳と理佐がくる




ねる「何話して…え!?平手さん大丈夫!?」


愛佳「わかった!零に泣かされたんでしょ?」


『いや俺じゃないわ笑』


理佐「よしよし、可哀想に」


『完全に俺悪者じゃん。笑』


平手「ふふっ…あははっ笑」


『やっと笑った』


平手「えっ…」


『絶対笑ってた方がいい。そっちの方が可愛い』


平手「…っ」


愛佳「なに転校生きて早々に口説いてんの?笑」


『ばっ、口説いてないから!』


ねる「零焦っとるぅ笑」


『焦ってないけどねる訛ったから罰金ね』


平手「そんなゲームやってるの?笑」


愛佳「こいつらあほだから笑」


ねる「またやってしまったぁ…!」




「「「「あはははっ笑」」」」








これからもこんなふうに皆で笑っていられる。そう思っていたんだ。
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