短編
□3秒間
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俺は今貴重な休日に1人喫茶店に来ている。何故か。俺の親友の聡に彼女ができたから。もっと言うとその彼女を紹介してもらうからだ。
聡「あ、零!お待たせ!」
『お、やっときた。おせーよ』
聡「わりーわりー!」
聡の隣には少し緊張して俯いている女性が立っていた。
『…とりあえず座りなよ』
聡「だな!よいしょっ…」
『ばか、レディファーストって言葉を知らないのかお前は』
聡「あ!ごめ、」
「いいよ!気にしないで、聡」
聡「…俺の彼女はそんなこと気にしないんですぅ!!」
「あはは、笑」
『はぁ…まあいいや。とりあえずなんか飲む?』
そう言って聡の隣に腰をかける彼女にメニューを渡すと、ようやく顔が見えた。えっ……
「あ、ありがとうございます」
俺はその声に反応すらできず、彼女から目が離せなかった。
俺は親友の彼女に一目惚れをしてしまったんだ。
聡「おい、なに人の彼女ガン見してんだよ」
聡の言葉で我に返る。
『い、いや?どんな子なのかなってさ…』
「初めまして。白石麻衣です」
『麻衣さんね。俺は…聡から色々聞いてると思うけど、如月零。よろしく』
白石「ずっとお会いしたかったんです!聡、私といる時如月さんの話ばっかりで…笑」
聡「いやぁ…」
『何で照れるんだよ!笑』
俺は普段通りを装うのに必死だった。幸い聡はそういうのに関して鈍感だけど、麻衣さんは…
『それより、敬語やめようよ。同い年でしょ?』
白石「そう…だね。そうしよ!」
綺麗な彼女が微笑むだけで俺の視界は明るく、色鮮やかになった。
『聡にこんな綺麗な彼女ができるとはなぁ』
聡「まじで幸運だよ!勉強も運動もからっきしできない上、この外見…彼女ができる日が来るなんて…」
『よくわかってんじゃん笑』
聡「うるせぇ!!」
『おいおい、自分で言ったんだろ笑』
聡に今まで彼女が出来なかったのは今の発言でわかるだろう。だから俺が聡からその初の彼女を奪うわけにはいかない。そう思った。
愛情より友情。この時はその一択しかなかった。