短編

□たったひとり
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如月side



こんなに可愛い、しかもとてもいい子たちが俺に好意を寄せてくれている。でも俺には君しか考えられない。これから先もきっと…



少し1人になりたくて、皆に別れを告げて教室のいつもの席に座り、俺の好きな人の席をひたすら眺める。気持ちを自分で終わらせることなんて出来ないんだな…



ガラガラ…



急に開いたドアを見て俺は一瞬息が詰まる。



『齋藤さん…?』


飛鳥「ごめん、さっきの…見ちゃった…」


『…み、見られちゃったか…ごめんね。しつこくて気持ち悪いよね…』


飛鳥「そんなこと…っ!」


『でも!まだ…好きでいさせてください…迷惑はかけないから…もう少し…あと少しでいいから…』



断ち切れそうにない気持ちをまだ噛み締めていたくて。せめて…



飛鳥「…いいよ。でも、条件出させて」


『条件って…?』



その時齋藤さんの口から出た言葉は、いつまでも俺の心臓を掴んで離さない、呪いのような言葉だった



飛鳥「…等価交換。私も如月くんのこと…好きでいさせて」


『へ…?今なんて…』


飛鳥「2度は言わないから」



そう言い残して教室を後にする齋藤さん。俺の心臓はこれまでの人生で1番早く動き、それは苦しくも、心地良かった。




翌日教室に入ってくる彼女をそわそわしながら今か今かと待っていると、彼女はあっさりと顔を出した



『さ、齋藤さん!おはよ…』


飛鳥「あ、おはよ。零くん」


『え…今名前で』


飛鳥「私が名前で呼んだんだから、零くんも私の事名前で呼んでよ」


『いや、でも…』



付き合うって公言してるわけじゃないし…



飛鳥「等価交換…だよ?」





どんなに好意を寄せられても、
どれだけの感情をぶつけられても、




好きになって欲しいのは君だけ。




たったひとりだけなんだ。



『飛鳥さん!』


飛鳥「ちょっと!声でかい!ばか!」



そんなトゲのある言葉とは裏腹に魅せる彼女の笑顔を忘れた日なんて無かった。これからも忘れることは無いだろう。



きっとこれが俺の…最初で最後の恋だから




END.


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