短編

□たったひとり
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いつものように準備を済ませ、家を出ると既に七瀬は来ていた



『おはよう』


西野「あ、零!おはよ」



七瀬は俺の幼馴染。喧嘩なんか一回もしたことなんてなくて、一緒にいて凄く楽な存在だ



『よし、乗って』



自分の自転車に跨り、後ろの荷台を指さす



西野「よいしょっ…と。しゅっぱーつ!」



そう言ってばしばしと俺の背中を叩く七瀬



『ちょ、痛いよ!』


西野「零が早く出さへんから笑」


『はいはい、出すから…』


西野「レッツゴー!」



やたらとハイテンションな幼馴染を後ろに乗せて通学路をスイスイと進んでいく



西野「零、なんか筋肉ついた?」


『え?うそ、別に何もしてないけど』


西野「なんか背中がおっきい気が…気のせい?」


『気のせいでしょ。笑』


西野「そっか…ならええんやけど」



そんな他愛もない話をしているとあっという間に学校に着く


教室に入ると俺たちが1番仲のいい麻衣がこっちに手を振っていた



白石「おはよー!」


『麻衣、おはよう』


西野「おはよ!まいやん」


白石「あ、零」


『ん?』


白石「ふふっ笑 ネクタイ、曲がってるよ?笑」


『え…ほんとだ』



曲がったネクタイを直そうとすると麻衣が俺の手を払い直してくれる



白石「これでよしっと…もう、零はおっちょこちょいなんだから笑」


『ごめんごめん笑』


西野「まーいーやーんー??」


白石「なぁに?笑」


西野「言いたいこと…分かっとるやろ…」


白石「んー、行動した者勝ちでしょ?笑」


西野「せやけど…ずるい…」


「おはよー」



その声に俺は反応してしまう。俺の聞きたかった声だ…


教室の入口を見ると飛鳥さんが入ってきていて、彼女に見とれてしまう



西野「零?聞いてる?」


『……』


白石「おーい、零ー?」



俺の視界が麻衣の顔でいっぱいになる



『うおっ!近いよ!』


白石「うおって…可愛いなぁもぉ!」


西野「ぼーっとしてどしたん?」


『…んーん、何でもない。ほら、早くしないとホームルーム始まるよ』


西野 白石「………」




席に座ったあとも、俺は彼女から目が離せなかった
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