短編

□君のためなら
4ページ/4ページ




切れてる息を整えながら路地裏に入って行くと、この前俺がぶっとばした奴らと知らない顔がひとり



「お、きたじゃん。君が零くんか…なかなかいい面構えじゃねーか」


『七瀬は…七瀬はどこだ!?』


「まあそう焦んなって!ここにいるからさぁ」


西野「零!来ちゃダメだよ!」



男の指差す方向を見ると七瀬が複数人の男に抑えられていた



『今助けるから待ってろ!』


西野「ダメ!そのひと、」


「おっと、ネタバレは勘弁。さ、やろうか。俺に勝ったら女は解放してやんよ」


『てんめぇ…』



俺はその男に向かって思い切り拳を振り上げるけど、その拳はひらりとかわされてしまう



「これ、見える?笑」



男の手にはナイフが握られていて、それを俺に見えるようにゆらゆらとかざす



西野「零!早く逃げて!」


『…ナイフ持ってるからなんだ。そんなの関係ない…俺はお前をぶっとばして七瀬を助けるだけだ』



ナイフを出された瞬間、むしろ冷静になり、男に向かい構え直す



『よし…こい!』


「あーらかっこいいこと。笑 んじゃ、遠慮なく!!」



男の振りかざすナイフは速く、避けるのがやっとでやり返すことが出来ない



『くっ…』


「これだから学生はあめぇんだよ!ナイフに素手で勝てると思ってんの?」



『…あぁ、勝てるよ』



今度はナイフを避けずに腹と手で受け止める



『いっ…』


「おらおらぁ!いてーだろ!俺が現実を教えてやんよ!」


『ばかかてめぇ…こっから俺の拳、避けられんの?』


「…っ!ちっ、離せ!」


『ばーか…離さねぇよ』



男の顔に目がけ俺は思い切り拳を振るい、それは見事命中する


すると男は蹲って動かなくなった



『七瀬!』



七瀬を取り押さえる男達を次々となぎ払い、七瀬の元に駆けつけ、抱きしめる



『大丈夫か!?』


西野「喧嘩しないって…言ったじゃん…っ」


『…ごめん。これからも守れそうにねーよ。その約束』


西野「なんでよ…っ」


『七瀬がこんな目に遭うのを黙って見てるほど俺は腐ってねぇってこと』


西野「ごめん…っ、ごめんねっ…」



七瀬はずっと泣いていたけど、俺に絡める手は離さなかった。




そのまま七瀬を抱き上げ、俺の部屋のベットまで運び込む


七瀬は安心したのか綺麗な寝息をたてていて、なんだか安心する



『俺が守るから…七瀬のためなら俺は……』



この時初めて知った感情はきっと…




西野「零…」


『いる…ここにいるから…』






愛なんだと思う



END.


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ