短編

□忠誠
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理佐side


理佐「ご主人様、起きてください」



いつも通り零様の寝室に向かい、ベットの横に立って零様を起こす



『ん…おはよう理佐』


理佐「おはようございます。朝食のお時間です」


『わかった。ありがとう』



私は如月家に仕えるメイド。いつも零様を支え、身の回りのことをしてきた。これからもそう。私は零様に忠誠を誓っているのだから







これは私が幼い頃の話



理佐「えー、私こんなの着たくない…」


理佐母「着なきゃダメよ。私たちの家系は先祖代々如月家の人たちを支えるってお仕事があるの。そのためにこの服に身を包んで、」


理佐「いやったらいや!!」


理佐母「理佐!」



私は玄関のドアを勢いよく押し開け、走った。何がなんでもあんなフリフリのメイド服は着たくない。幼くもそんな強い思いを抱えて…


でもすぐに空は暗くなって、来た道すら思い出せない。私は怖かった。怖くてたまらなかった。


でも私が座って泣いていると、その人は来てくれた



『大丈夫?』


理佐「…ぐすんっ、だあれ?」


『俺は零。君は?』


理佐「…理佐」


『どうして泣いているの?』


理佐「迷子になっちゃったの…っ」


『……安心して!俺が絶対お家まで連れてってあげるから!お家、どこらへん?』



私は覚えていた家の住所を間違いのないように伝えた



『本当に?俺の家もその辺なんだ。さ、乗って』



彼の指した先には黒くて長い車があって、まあいわゆるリムジン。ちょっと怖かったけど、彼なら連れてってくれる。そう思った


しばらくすると私の家が見えてきて、私は必死に指をさした



理佐「あそこ!あのお家なの!」


『え、あそこって…』


理佐「なあに?」


『…んーん、何でもない。じぃや、停めて』


じぃや「はい、お坊っちゃま」


『さ、着いたよ』


理佐「ありがと!零!」


『いいんだよ理佐。またね』


理佐「うん、ばいばい!」



私は無事に帰れたけど、そのあと母にこっぴどく叱られたのは言うまでもない



翌日〜



その日は私が仕える人に会う日。絶対いや。そう思っていた。彼をこの目で見るまでは…



『やあ理佐』


理佐「あれ!?零!?」


理佐母「理佐!呼び捨てなんて無礼な…」


『いいんです。理佐とは友達ですから』


理佐母「お坊ちゃまは理佐のことをご存知で…?」


『はい。昨日偶然、ね?』


理佐「うん!ねぇママ。私がつかえるひとって零なの?」



理佐母「そうよ。今日から仕える、如月零さんよ」


理佐「…っ、私、がんばる!」


理佐母「理佐…!」


『よろしくね?』



彼になら忠誠を尽くしてもいい。そう思った
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