短編
□憧れ
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はぁ…また憂鬱な1週間が始まる…
学校につくとまだ人は少なくて、僕はお気に入りの小説を鞄の中から取り出し、イヤホンをつけて自分の世界に入り込む。これは毎日の習慣だ
小説を読み進めていると時間はあっという間に経ち、教室がざわざわしだす。来た…
土生「皆おはよー!」
鈴本「おはよー土生ちゃん!」
小池「土生様、今日もかっこいい♡」
土生「あははっ笑 ありがと美波」
男1「おはよ瑞穂!あの曲聞いたー?」
土生「おはよ!聞いた聞いた!めっちゃいいよね!」
土生さんは男子からも女子からも人気で、僕にとっては憧れそのものだ。あんなふうに過ごせたら学校も楽しいんだろうな…
そんな中僕は無難にやり過ごし、気づけば放課後。家に帰ってもすることないし、もう少しこの本読んでいこう
残って本を読んでいると、さっきまで誰もいなかった教室に人の気配がした。顔を上げると目の前には土生がいて…
土生「零くん?まだ帰ってなかったんだ。何読んでるの?」
僕は咄嗟にイヤホンを外した
『は、土生さん。ラノベってやつだよ…』
土生「え、私も読むよラノベ!それ何?」
『これは…』
土生「それ私も好き!主人公めっちゃかっこいいよね!」
『う、うん!普段は皮肉ってばっかだけどいざって時に頼れるところがまたいいよ、ね…ってごめん。つい熱くなっちゃって…』
土生「あははっ笑 零くん、普段もそうやって喋ればいいのに。顔整ってるし背高いし。勿体ないよ!」
『いや、僕にはこういうポジションがお似合いだよ…』
土生「……あ、そうだ!明日もまた放課後残ってさ、語ろうよ!」
『え、いいけど…』
土生「明日は私の好きな小説持ってくるね?」
『わかった』
こんな僕にも学校に行く楽しみができた