短編

□躊躇い
7ページ/7ページ




その足でさっきまで虹花たちがいた場所へと向かっていた。そこにふたりの姿は既になくて、ひたすら走って探した


なんでこんなに必死なんだろう。虹花に会いに行く理由は?虹花のことが好き?


色んな問が頭の中でぐるぐるまわっていたけど、虹花に会いたい。それだけだった


そこから少し離れた展望台でふたりを見つけた。綾斗が虹花にキスをしようとしていて…




『にじ、』


石森「やめて!」


葛城「…ごめん。てっきり虹花も俺のこと…」


石森「…私、零が好きなの」


葛城「え、でも零はさっき理佐と、」


石森「いいの。私が理佐に叶う訳ない。零が本気で選んだ人ならそれでいいの…」




その言葉を聞いて俺の中の何かが溢れ出した




『虹花』


石森「零…?」


葛城「…今の見てた?」


『ごめん、見た』


葛城「…じゃあ邪魔者は帰るよ。笑」


石森「綾斗、本当にごめんね」


葛城「いいよ。明日からもいつも通りでよろしくね」


石森「…わかった」


葛城「零。今回は負けたけど、今度また迷ったりしたら虹花、貰うから」


『…もう躊躇ったりしないよ』


葛城「…そっか。じゃあまた明日」




そう言って綾斗はその場から立ち去って行った




『虹花。お前が綾斗とキスしそうになった時、嫌だって思った。だからって好きかとかそういうのよくわかんないけど…虹花にはずっと傍にいて欲しい。そう思ってる』


石森「遅いよ…」


『ごめん…』


石森「意気地無し!怖がり!ばか!変態!」


『いや最後おかしくない!?』


石森「でも…私も零の傍にいたいって思う」


『虹花…』


石森「次私から離れたら、許さないからね…?」


『そんなこと、もうないよ』




キスをするとか、手を繋ぐとか、そういう事じゃない。




一緒にいたい。どんな感情も共有したい。




これが好きってことなのかは正直分からない







でも…













それがどんな感情であっても、もう俺は躊躇わない















そう決めたんだ


END.


次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ