短編
□躊躇い
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その足でさっきまで虹花たちがいた場所へと向かっていた。そこにふたりの姿は既になくて、ひたすら走って探した
なんでこんなに必死なんだろう。虹花に会いに行く理由は?虹花のことが好き?
色んな問が頭の中でぐるぐるまわっていたけど、虹花に会いたい。それだけだった
そこから少し離れた展望台でふたりを見つけた。綾斗が虹花にキスをしようとしていて…
『にじ、』
石森「やめて!」
葛城「…ごめん。てっきり虹花も俺のこと…」
石森「…私、零が好きなの」
葛城「え、でも零はさっき理佐と、」
石森「いいの。私が理佐に叶う訳ない。零が本気で選んだ人ならそれでいいの…」
その言葉を聞いて俺の中の何かが溢れ出した
『虹花』
石森「零…?」
葛城「…今の見てた?」
『ごめん、見た』
葛城「…じゃあ邪魔者は帰るよ。笑」
石森「綾斗、本当にごめんね」
葛城「いいよ。明日からもいつも通りでよろしくね」
石森「…わかった」
葛城「零。今回は負けたけど、今度また迷ったりしたら虹花、貰うから」
『…もう躊躇ったりしないよ』
葛城「…そっか。じゃあまた明日」
そう言って綾斗はその場から立ち去って行った
『虹花。お前が綾斗とキスしそうになった時、嫌だって思った。だからって好きかとかそういうのよくわかんないけど…虹花にはずっと傍にいて欲しい。そう思ってる』
石森「遅いよ…」
『ごめん…』
石森「意気地無し!怖がり!ばか!変態!」
『いや最後おかしくない!?』
石森「でも…私も零の傍にいたいって思う」
『虹花…』
石森「次私から離れたら、許さないからね…?」
『そんなこと、もうないよ』
キスをするとか、手を繋ぐとか、そういう事じゃない。
一緒にいたい。どんな感情も共有したい。
これが好きってことなのかは正直分からない
でも…
それがどんな感情であっても、もう俺は躊躇わない
そう決めたんだ
END.