短編
□君の理想に
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数日後〜
いつものように登校して、俺の席につく。すると…
愛佳「零ー、呼び出し」
『朝から…誰?』
愛佳「…さあねー?笑」
なんだあいつ。ニヤニヤしている愛佳を無視して廊下へと行くと、そこには飛鳥がいた
『飛鳥…』
飛鳥「どうも。」
飛鳥と図書室以外で会うのは、この時が初めてだった。俺は気まずくて、飛鳥の方をチラッとみると、飛鳥もちょっと気まずそうにしていた
『…どうしたの?』
飛鳥「なんで最近図書室に来ないの?」
『ごめんごめん、最近忙しくてさ笑』
飛鳥「嘘…ほんとのこと言って」
『…俺この前聞いちゃったんだ。飛鳥をいじめてたやつらと話してた内容』
飛鳥「あれは…」
『今まで好きになった人にも、素の俺なんて見せたことなかった。その子の理想になることに必死だったんだ』
飛鳥「うん…」
『でも飛鳥は素の俺を受け入れてくれてる、そう思ってた。そしてそんな飛鳥にどんどん惹かれていった…』
飛鳥「………っ」
『でも全部俺の勘違いだった。ごめんね、今まで付き合わせちゃって』
『違う……』
『だからもう、』
飛鳥「違うの!聞いて」
『いや別にいいよ』
飛鳥「いいから聞け!私も素を見せるのが苦手なの。すぐ気を張っちゃう。だから友達もいなかったし、いじめもあった。でも零のおかげで一変したの」
『飛鳥…』
飛鳥「でもやっぱり気は張っちゃう。素直になれない。だからあの時あんなこと言っちゃった…」
『……………』
飛鳥「今では前とは比べ物にならないくらい学校が楽しい。それを作ってくれたのは…零だった。私の理想に零が近づくんじゃなくて、理想が零になっていくの」
『え、それって…』
飛鳥「うん…零のこと、好き…そのままの零が好き…」
『…俺も飛鳥が好き』
飛鳥「じゃあ両想いじゃん。それ以外に面倒くさいこと考える必要ある?」
『…ないよな』
飛鳥「よし、わかったら抱きしめろ」
『は?どういうこと?』
飛鳥「いいから!」
咄嗟に抱きしめると飛鳥も俺に腕を回した
飛鳥「今度からはもっと素直になるから…」
『飛鳥はそのままでいいんだよ』
飛鳥「えっ?」
『俺の理想が…飛鳥なんだから』
今まで俺は理想に近づこうとしていた。でもそれは本当の好きってことじゃない
君の理想になるんじゃない
君が理想に近いんじゃない
理想が俺たちに近づいていくんだ
そういう風にできている
END.