短編
□3秒間
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時計を見てハッとする。時間ねーじゃん!
俺は急いで準備を済ませてリビングのドアの前で待ち構える。
ドアが開き、いつもの声が聞こえた。
白石「ただい…え!?」
『どーん!びっくりした?笑』
白石「え!?なになに!?私誕生日じゃないよ!?」
『覚えてないのかよ。俺らの記念日!今年で3年目だぞ!覚えろよなー』
白石「あ、そうだった!ごめん!忘れてた…」
『ふっ、全然いいよ笑 じゃーん。麻衣の好きななんちゃらって店のケーキ』
白石「え!ほんとに!?嬉しすぎるよ!!」
『喜んでもらえて良かったよ。笑』
麻衣の浮かべる満面の笑みを見ながら、俺は幸福感を噛み締めた。
白石「この料理も零が作ったの!?」
『あ、うん』
白石「え、こっちの方が何倍も嬉しいよ!!零が料理するなんて…」
『失礼な。笑』
その後、ご飯を食べながらお酒を飲んだり、3年前の思い出話に花を咲かせて過ごした。
『麻衣』
ケーキも胃袋に収めたところで、俺は麻衣を思い切り抱きしめる。
『これから言うことは…俺の真剣な、最初で最後のお願いなんだけど…』
白石「…はい」
きっと勘づいてるんだろうなと思いながら麻衣から離れる。そして今日受け取ったばかりの指輪を見せた。
『俺と…結婚してください』
すると麻衣はあの時みたいに泣きながら笑って、こう言ったんだ。
白石「3秒後も、3年後も、30年後も…ううん…300年後だって…ずっと一緒だよ…っ?」
END.