短編

□3秒間
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その日聡は結局1時間程遅れてきて、それでもあまり悪びれていない様子だった。


俺は聡にムカついていた。あんなに綺麗で性格もいい彼女がいるのに。と、あいつの悪いところばかりが際立って見えてしまって…測りは愛情の方に偏りつつあった。



『聡』


「ん?なに?」



俺の部屋のベットに寝転び、呑気に漫画を読んでいる聡に声をかける。



『一発殴らせて』


聡「…はぁ!?なんだよ急に!」


『お前さ、麻衣さんと真剣に付き合う気、ある?』


聡「あるに決まってんだろ!」


『じゃあなんで遅刻ばっかすんだよ。麻衣さん、ちょっと気にしてたぞ』


聡「それは…仕方なくね?俺朝よえーし」


『…あっそ。もうどうなってもしらねーからな』


聡「何のことだよ。」


『忠告したから』



意味わかんねーとか言いながら漫画に目を戻す聡。お前のせいだからな…





その数日後、俺は麻衣さんに連絡を取っていた。



如月 "こんにちは。この前の本読み切ったよ。返したいから今日会えないかな?"



単調なメッセージを指で打ち込み、送信ボタンを押す。返信はすぐに返ってきた。



白石 "こんにちは。早いね!
会えるよ!どこに行けばいい?"


如月 "それじゃ、この前のカフェに1時間後で大丈夫?"


白石 "大丈夫だよ!また後でね!"


如月 "ありがとう。気をつけてきてね。"



俺は久しく感じていなかった高揚感と共に、早めに家を出た。


カフェに着くと窓際の席に座り、ホットコーヒーを注文して、麻衣さんに借りた小説を読み返した。



白石「如月さん。ごめんね、待った?」



顔を上げると、麻衣さんが少しバツの悪そうな顔で俺の顔をのぞき込む。



『ううん。全然。今来たところ』


白石「よかった!」



麻衣さんはにっこりと笑い、俺の前の席に腰をかけた。



『あ、すいません。ミルクコーヒー1つ』



通りかかった店員に注文をする。



白石「え、私の?」


『うん。あ、もしかして別のがよかった?』


白石「ううん、そういう訳じゃなくて…覚えてくれてたんだなぁって…笑」


『もちろん。鶏じゃないからね。笑』


白石「聡はこういうこと、すぐ忘れちゃうんだよ?覚えようともしてくれないし…」



その言葉を言い切ってから、麻衣さんは慌てた様子で口に手を当てた。



白石「ごめん…つい愚痴っちゃった…」


『…気にしないで。そりゃ付き合ってれば不満もあるさ。笑』


白石「…ありがとう」


『むしろ共通の友達って俺しかいないんじゃん?話ならいつでも聞くよ』


白石「如月さん…」


『あれ、友達ってそんなよそよそしい呼び方するんだっけ…?笑』


白石「もう…何それ笑 零くん…でいい?」


『…っ、うん。完璧。』


白石「変なの。笑 あ、小説どうだった?」


『めちゃくちゃ面白かった。あの場面、よくなかった?』



やっぱり



好きだな
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