歌物語

□失った物と得た物
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気分転換にデートをしようと言われ、ある港町にきた。
さすがに人通りが多い場所は難しいので、静かな公園でゆっくりすることにした。

「こういう場所ってなんだか落ち着くな」
「退屈するかなと思ったけど喜んでもらえてよかったよ」
そう言う嶺二の顔は少し暗かった。

「ねぇ嶺二、もしかしてなにか悩んでる?」
「どうやら優ちゃんにはお見通しだったようだね…」

昔から嶺二は1人で抱え込んでしまうことがある。アイドルを辞めることを考えたこともあるぐらいだ。

「前にアイアイとドラマをやった時に昔の親友を思い出して、こうやってアイドルやってていいのかなって思っちゃってさ」

私は詳しいことは分からないがそれは大きな傷を残したに違いない。

「ねぇ、観覧車乗らない?気持ちも晴れるんじゃない?」


ちょうど日も暮れていたので夜景が綺麗だった。
「こういうの見るのいいね。吸い込まれそう。」
「僕気づいたかも、失った物より得た物の方が多いことに」
「得た物って?」
「QUARTETNIGHTの仲間もそうだけど1番は優ちゃんに出会えたことかな。」
「私も嶺二に出会えて、こうして好きになれて良かった。」
「…これ以上煽ると我慢出来なくなりそう」
「えっ…ひゃあ!」
急に抱きしめられた。全身が熱くなるような気がする。

「キミだけだよ、こんなに素直になれるのは。」

下に着くまでの数分が長く感じた。


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