リクエスト2

□甘い罠
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カタカタカタ…





暗くなったオフィスに響くキーボードを叩く音





モモ「あぁ〜終わらへん…」





文句をたれながら作業をするモモ





去年中途採用で入ったモモは同い年や年下の先輩から仕事を押し付けられることがよくあり、今日もその始末に追われているところだった





モモ「はぁ…ほんまやったら今頃…」





モモはこの会社に入る前はダンススクールの講師をしながらチームを組んで全国各地で活躍していた





しかし突然スクールがつぶれ、就職先を探すことになったがことごとく落とされてしまい唯一採用されたのがこの会社だった





モモ「次のスクールが見つかるまで我慢や…頑張れモモ!」





気合いをいれるモモ、それと同時にオフィスの扉が開く





「あれ?…一人だけ?」





モモ「あ……///」





ミナ「ふふ…外にも漏れてたけど、何を頑張るん?」





モモ「や…はは//」





オフィスに入ってきたのは唯一モモに仕事を押し付けてこないミナだった





ミナ「またいっぱい抱えてんなぁ」






モモ「あはは、こんなに信頼されてて嬉しいかぎりですよ」





どこで誰と繋がっているかわからないので変なことは言えないと怯えながら接するモモ






ミナ「敬語やめてって言ってるやん、それに私のんが年下やん」





そんなモモの思惑とは裏腹に優しく接してくれるミナ





モモ「で、でも…」





はじめて会ったときから一人だけ優しく接してくれるミナにいまだに戸惑いを抱くモモ





今までたまっていた鬱憤や疲れからかモモは思わず






モモ「ミナさんはなんで私に優しくしてくれるんですか…?」






ミナ「…え?」





きょとんとした表情のミナを見てしまったと思うももう遅い






モモ「あの…いや、ちがくて」





ミナ「ん〜なんでやろな…好きやからかな?…へへ、なんちゃって」





モモ「…っ///」





悪戯っぽく笑うミナを素直に可愛いと思ってしまう





もともとすごく整った顔にスラッとしたスタイル、それこそ隙がない見た目に優しい性格






モモはミナと会ってからずっと、戸惑いと共に好意を抱いていた





モモ「あの…ミナさん」





ミナ「ん?」






これはさっきみたいに疲れているせいだと自分に言い訳しながら言葉を紡ぎだす






モモ「ミナって呼んでいい?」






ミナ「へへ…もちろん!」






やっぱり笑顔が素敵だなとモモは思った






ミナ「それ、あとちょっとやな」





モモ「う、うん…」






ミナ「一緒にやろ、んで終わったらご飯行こ!」





モモ「うん!」





この会社にきてはじめて誰かと笑いあったモモの心はとても充実していた





ヤバい…本気で好きになってもうた…





ミナ「ふふ…やった」





モモ「ん?何か言うた?」





ミナ「んーん…何も…さ、頑張ろ!」





モモ「うん!」














end


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