二次創作【腐】

□やって、やられて、やり返して?
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やって、やられて、やり返して?




朝、暖かい布団の中で目が覚める。
まだぼんやりとしか見えない視界に入るのは朝の光で反射してる金色の髪。鼻腔にくすぐる檸檬の匂い。隣国の広島は心地よさそうに寝ていた。
その事実に気づいた瞬間昨日のことを思い出し頬に熱が貯まるのが自分でもわかる。・・・こんなことで乱れる自分の心が少しだけ憎い。
まぁそれでも起こさないようにそっと離れて、起きようとする。が、何となく広島の胸元をそっとなぞる。傷跡を頑なに見せなかった過去。何かがきっかけになったのかは知らないが最近は寝る時や部屋にいる時はその肌を隠さないようになってた。その手も、自分といる時は黒い手袋を外したり時があったり。貴方の全てが見えるようで少し嬉しい。上半身裸でうろつくのはやめてほしいが。
そっと、傷跡をなぞって、そのまま上へ、上へ。首元までいってふと思った。
・・・広島の首元、白い。
私にはあんなに噛み跡だか・・・キス跡だか沢山つけといて。
つけてみようか。丁度寝てるし。
いやいや、と思い直す。付き合ったばかりの頃寝てると思った彼が寝た振りで恥ずかしい思いをしたことを思い出す。
それでも、何だか自分だけが広島の物という所有印がついてるようで。
・・・貴方も私のものなのに、なんて。
そっと首元に近づく。キス跡なんてどう付けるかわからないが広島が出来るのだから私にだって。
息を吸って首元にキスした。が、中々つかない。どうやって彼はあんなにもつけてるんだろう。少々の疑問と起きてしまうのではという焦り。それでも、少しの好奇心と負けず嫌いが勝ってしまい何度も何度も試してしまう。
何回も何回もやるとやっと小さく、それでも赤い赤い跡がついて満足した。ふぅと息をつきながらすっとそこを指でなぞる。そんなことに満足する自分が癪だが今日は機嫌が良いのかもしれない、なんて。
そこから起こさないようにそっと静かに布団から出て、朝の支度をした。


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微睡みからゆっくりと目が覚める。スゥと目を開けると隣国の岡山はいなかった。あー・・・先に起きたのか寝顔見たかったのに。
朝の光がまだ目に眩む。晴れの国は相変わらず晴れのようだ。誰もいないベッドに座り伸びをする。耳をすませると少しだけ聞こえる生活音。レンジの音やお湯が湧いたことを知らせる音が鳴るところによると先に起きた岡山は朝食を作ってくれてるようだった。
最初は卵割るのさえ出来なくて卵を粉々にしていたのになぁと、心地よい生活音を聞く中で思う。俺のための朝食、というところに心さえ浮ついて。
早く会いたい。ドアや壁を壊して目の前にすぐ行きたい、と思う程に俺は岡山に相当惚れてる。
腰掛けたベッドから立ち上がりガチャリ、ドアを開ける。
案の定というかやはり岡山は朝食をせっせと作っている。・・・しかも、いつもは結わない髪を結って。いつもと違う姿に心がクラっとくる。俺しか見れない岡山の姿。その事実に顔が緩む。
ずっと岡山を見てたからか俺の姿に岡山は気づいて、普段崩さない顔を少しだけ綻ばせつつ、赤くさせながら
「・・・おはようございます。」
と、言われた。なんか、あったっけ。
「・・・おはよ?岡山。」
なに?と言うように少し疑問形にしながら言うと別にと答えられその後少ししながら、
「・・・あんまジロジロ見ないでください。」
と、言われ。それもパッと目を逸らしながら。可愛い。いつも仏頂面で顔を崩さないのに俺によってその顔が崩れるところとか、普段見せない赤らめた顔とか、本当好き。
もっと見てたいが流石に自分の心とか身体とか―いや、昨日の今日でしかも朝なのだが。照れ隠しで岡山が何するかわからない。そこも可愛いから許すが朝からカーニバルは御免被りたい。
とりあえず、顔を洗おうと洗面所に行きルーティンのように鏡を見て・・・
鏡を見て・・・?
「・・・は。」
呆けたような声が出た。
顔の下。首のど真ん中。服を着ても見える位置。に、赤い所有物は鎮座していて。1つ、控えめのようで控えめでない。
普段、見えるところにつけるな。とか散々言っといて自分はこんな見える位置につけるかとか、今日会議あるのにとか、思ったのはほんの一瞬。
気恥しいのか俺が寝てる時に付けたこととか。凝視してないと見えないような薄い跡が少しあり、つけるのに苦戦した初々しさとか。そこまでして、つけたかったのとか。
・・・とりあえず、可愛い。し、嬉しいけど。
やられっぱなしは性分じゃない。
クルッと鏡から背を向けキッチンへ向かう。岡山は冷蔵庫に向かっていて。俺に背を向けている。好都合だ。
「おーかやま」
そーっと近づいて抱きしめる。ふわっと香る桃の香りと体の温もりが直に伝わる。
「・・・は!?ちょっと、っ!?」
驚いてる岡山を横目に髪を結んでるせいで見えるうなじに噛み付く。それから離して口付けて、吸い付けて。噛み跡とキス跡がいつもは見えないうなじにつく。中々、綺麗について満足・・・
「いった!ちょっ、叩くの禁止!」
「じゃあ離してくださいっ朝から!なんなんですか!?」
腕をばしばし叩かれる。手加減してないようで地味に痛い。しょうがないので離すとクルリと岡山がこちらを向く。
「っ・・・跡つけたでしょう。」
うなじを手で抑えながら赤い顔でぼそり、呟かれた。
「つけたけどそりゃあ」
やられっぱなしは性分じゃないし?
くっと笑いながら自分の首元を指さすとそれは・・・と目の前の彼は口を濁しつつふいっと横を向く。その拗ねたようなところさえ可愛いと思うのは末期か。普通だろう。
「・・・貴方にはついてなかったから。」
私ばかり。
そう言ったと同時にすっと空気が動いて、噛み付かれたようにキスをされた。ほんの一瞬のこと。驚いてアホみたいに呆けた俺の前で岡山が口を開く。
「私だって・・・
やられっぱなしは性分じゃないので。」



END
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