ジョジョ
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ディオは“あの連中には関わるな”、と
言っていたが…何故そんなに口煩く言
うのだろう、と道中を歩きながら首を
傾げる。
「あ、ぁッ〜…名無しさんおば、じゃな
くって___名無しさん、さん!」
「っえ、と…貴方はこの間の」
御近所何だから会わない方が難しいよ
ね、と思いながら内心呟く。
相手は何か言い掛けるも、直ぐにぎこ
ちなくだが私を呼ぶ声に振り返ると、
この間家に来た内の一人___そう言え
ば、名前聞いてなかった。
「あ、俺は“ジョセフ”。呼び捨てで構
わねぇからさ、沢山呼んでくんない?」
人懐っこそうな笑みを浮かべながら、
自身の顔を指差しては「Call my
name」と、流暢な英語で求められたので
「え、っとジョセフ…?」
しかし、残念ながら私はそんなに流暢
な英語は話せない為、辿々しさが残る
声で呼ぶしか出来なかった。
内心恥ずかしさで一杯だったが、目の
前のジョセフは嬉しそうに「もーいっ
かい」と言うので、再度名を呼ぶと、
一層笑みを深め笑っていた。
「…(そんなに名前呼ばれるの好きなの
かな)」
変わった趣味してるなぁ、と思ってい
ると、ジョセフは私が手に持つ荷物を
指差すと
「あれ、名無しさんさん買い物して来
た感じ?やけに多いけど」
「其はディオが沢山食べるから、此く
らい買わないと間に合わなくて。あ、
ディオって言うのはこの間___失礼な
事言ったよね、ごめんね。不愉快な思
いさせちゃって」
話の流れでディオの名前が出てくると
ハッと、してはこの間の事を謝る。
あんな分かりやすく…否、あんな風に
言うなんて失礼過ぎる。
謝るように頭を下げると、頭上から困
惑するような声が聞こえてきた。
「え、ッ……?ちょ、待って待って___
ぇ、そのディオと、名無しさんさんは
〜…家族か何か?」
「家族、みたいな存在かな。小さい頃
からよく、遊んだりしてたし。
所謂“幼馴染”なの、大学まで同じ何だ
から驚いちゃうけど。」
笑って返す私とは反対的に、ジョセフ
は苦い顔をしながら頭をがしがしと掻
いては私を瞳に移し
「こんな事言うのもさ、アレなんだけ
どぉ___騙されてたり、してない?そ
の、俺もさアイツの事は多少足りとは
知ってンだけどさ、ぶっちゃけ性格悪
いぜ」
真顔でドストレートに投げられた言葉
に呆気に取られるも、私は思わず吹き
出しては笑ってしまった。
其の反応に驚いたのか、ジョセフは困
ったように「名無しさんさん!?」と溢
していた。
私は真っ直ぐに、ジョセフを見詰め
「知ってる、ディオが性悪なのも口が
悪くて、頭に血が上ると直ぐに手を出
す癖が有るのも___他にも沢山知って
る。」
“ありがとう”と告げ笑うと、目の前に
見える自分の家へと脚を進める。
後方でジョセフが何か言いたそうにし
ていたが、私は振り返らずにその場を
後にした。
「___ジョセフに会ったのか?」
「そう睨まないでよ、買い物帰りに偶
然会っただけなんだから」
ディオに今日の出来事を伝えると、直
ぐに顔を顰め「何か言われなかった」と
言われたので、肩を竦めながら「ディ
オの事良く知ってるのね」と答えると
「何だ、何て言われた。」
「ん?“性悪”だよねって、話を少々___」
普段のディオなら爽やか好青年を演じ
るのに、“あの”人達には私に見せる自
分で接しているディオに、少しのモヤ
モヤと「良かった」という思いで私の心
は溢れかえっている。
「った、も〜…何で叩くの」
「誰が“性悪”だ、訂正ぐらいするだろ
普通」
少し不機嫌そうな顔をするディオを眺
めながら軽く「ごめんごめん」と受け流
すが、ディオから今度はデコピンが飛
んできた。