ジョジョ
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ひたすら頭を床に押し宛、許しを乞う
事一時間____やっと私は母親の怒りか
ら解放された。
「っ、疲れた____」
“うぁァ゛〜…”と声を上げ仰向けに床に
寝転がると、ふわりとした紫掛かった
髪がクローゼットからはみ出ていたの
が、視界に移る。
嗚呼、忘れてた…と言うより忘れてい
たかったのが本音だが、そうは言って
いられない状態の為、正体不明の男へ
とゆっくりと近付き「あの…」と声を振
り絞る。
「……(うわぁ、不機嫌そうな顔)」
「…何だ」
男の手には青色の丸型某ロボットの単
行本が握られていた。見掛けによら
ず、こう言うのに興味とか持つんだ
____等と、この場に似合わない思いを
抱えながら
「さっきも言ったんですけど、どちら
様何ですか?あの、もしかして昨日…月
ヶ丘に、居ました?」
昨夜、私が流星群を見に行った場所で
ある丘の名前を聞いてみるも、答える
気は無いようで____視線は単行本へと
向いている。
しかし、こうしていても何も進まない
為、向き合うように座ると、勢い良く
単行本を奪い取ると鋭い目付きで睨ま
れたが……此方も負けじと睨みを効か
す。
「っ昨日…貴方に喉元、貫かれた気がす
るんですけど、と言うより____何故私
の部屋に居るんですか」
「____仕方あるまい、説明してやろう」
上から目線で言葉を投げられると、
「はぁ…」と自然と態度が悪くなるのを
感じながら、耳を傾ける。
其から理解出来ないような話を聞かさ
れ、私の中での男の印象は“頭の可笑
しな人”と、位置付けられた。
名前は“カーズ”と言うらしい。
カーズ曰く、波紋戦士である男との戦
いに負け、宇宙へと飛ばされたらしい
___しかも、宇宙では自分の身体は凍
り付き、動く事は出来ず何十年…と彷
徨っていたのだが____
後は難しい言葉を並べられ、私には何
を言っているのか理解出来なかった
為、「へぇ〜…そうなんだ」と軽く流し
ていた。
「…(まず、波紋戦士って何?エシディシ
とか、ワムウって人の名前?)」
尚更疑問が増えるだけになってしまっ
たが、まだ肝心な事を聞けていない。
「其れで、喉元の傷は何処に…」
「……説明しただろう、聞いていなかっ
たのか貴様」
「否、もう…理解出来なかったんで聞き
流してました」
正直に答えると、綺麗な顔をぐしゃり
と歪め「聞き流していた、だと…」と腹
の底から響くような低い声で呟くと
「貴様の其の頭には、何が入っている
のだ。同じ事を二度も説明するのは断
る」
「あ、じゃあ出て行ってくれます?」
理解は出来なかったが、生きてるのだ
から良しとしよう、と言う結論に達し
た私は窓を指差して帰ってもらうよう
に、直球で伝えると____ガッ!と首を
ヌルリとした触手で締め付けられた。
「っ゛……!」
「人間風情が、此のカーズに指図する
のか?」
「ぐ、ァッ____!」
声にならない声で“すいません”と、唇
だけでもパクパクと動かすと、カーズ
は私の部屋を見渡し
「ふむ、かなり狭いが…住むとしては問
題は無いな」
次の瞬間触手が緩み、私は床へと転げ
落ち頭を思い切りぶつける。
ジンジンと痛む額を手で擦りながら、
相手の顔を凝視するとカーズは瞳を輝
かせては
「布団とやらを寄越せ、“押入れ”とい
う場所に敷く」
「…(某ロボット漫画に影響されてる、
コイツ)」
ゲホッと噎せながら、抵抗すると先程
の様な目に合うと学習した為、私は頷
く選択肢しか無かった