ジョジョ

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玄関に向かうとチャイムは数度鳴り響

いており扉に手を伸ばすが____





「俺が出る、お前は後ろに居ろ」







「え、どうして?私の家なんだし、私

が……分かったからそんなに睨まないで

よ」






意を唱える事を許そうとはしないディ

オの瞳に負け、両手を軽く挙げ示すと

ディオは再度「動くなよ」と口にし扉を

ゆっくりと開ける。




扉を開けたものの、どうやら見詰め合

っているのだろうか…言葉を交わす事

なく暫く沈黙が空間を包み込む。





ディオに来るな、と言われていたが互

いに固まったままの状態を只見ている

のも詰まらない為、隣へと駆け寄る。


玄関先に居たのは長身の好青年で、其

の後ろにも二人、同じ背丈をした青年

が立っていた。軽く会釈をし笑って見

せると、目の前の青年は酷く驚いたよ

うな、懐かしむような表情を浮かべ私

を見詰めていた。







「ッ…後ろに居ろと言っただろ…!」






「だ、だって…ずっと固まってたから____」






鋭い目付きで睨んでくるディオから逃

げるように視線を目の前の相手へと映す






「新しく越してきた人、ですよね。も

しかして、ディオのお知り合いなんで

すか?」








「____ぁ、うん。知合い、になるのかなッ。えっ、と…君は名無しさん____?」






困惑の混じった声は酷く動揺し、綺麗

なエメラルドグリーンの瞳を大きく揺

らすと、私の名を確認する様に声に出

した様に感じた。





不意に言い当てられた自分の名に驚き

ながらも、ゆっくりと頷くと、困惑し

た表情から徐々に嬉しそうな顔へと変

わっていくのを見詰めながら、何故…

私の名を知っていたのか、そして私も

_______此の人の笑った顔を見た瞬

間、酷く泣きたく成った。









懐しさと不思議な想いが胸に押し寄

せ、「貴方の名前は?」と問い掛ける前

に、ディオが間に入るように私を背に

隠すと








「____挨拶はすんだ筈だ、引っ越して

来たばかりで荷解きもまだじゃあない

のか?」








「っちょ、ディオ……」







まるでさっさと出ていけ、と言うよう

な口振りにディオの腕を掴むが、ディ

オは視線を私に向けるも、直ぐに前を

向いた。







「____“今日は”そうするよ、またね名無しさん、さん」






「は、い……また。」








少しぎこちなく笑い、私に手を振ると

三人は帰って行った。




三人の後ろ姿を見送った後、私はチラ

リとディオに視線を向けなが

ら「さっきの態度は失礼じゃない?」

と、告げるとディオは鼻を鳴らし








「アイツに惚れたのか?趣味が悪いぞ、

名無しさん」






「な、誰もそんな事言ってない……!

客観的に見て、そう思ったから」








微かに頬に熱が集まるのを感じなが

ら、言葉を投げるとディオは真っ直ぐ

に私を見詰め






「アイツは、止めておけ。どうせま

た、名無しさんが泣くだけだ」






「またって、何それ…」








ディオは荒く私の頭を撫で回すと、

私の問い掛けには答えずに只、黙って

いるだけだった。









 

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