ジョジョ

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頭が痛い、ズキズキと未だに痛みを主

張する頭部に手を宛、血が出ていない

かと確認する。


良かった、怪我はしてないみたい___

そう安心するも、昨日見た光景では喉

元を指先で貫かれた筈、そう思い出し

まさか此処は天国か何処か?と冷や汗

を流しながら、辺りを見渡す。







「っ、私の部屋……?」






見慣れた景色に首を傾げる、昨日は確

か……と思い出しながら不意に指先で喉

元をなぞると痛み所か傷跡さえ消えて

いる事に気が付く。



自分の置かれた状況に、困惑するも昨

日の夜の出来事は夢だったに違いな

い、と思えホッと胸を撫で下ろす。





きっと、星を見に行こうとしたけど結

局睡魔にでも負けて寝てしまったのだ

ろう。そう自分が納得出来る答えを導

き出すと、安心感に包み込まれ私は

「なーんだ夢か」と、再びベットに寝転ぶ。








「ま、そうだよね。あんな未知の生物

に何て早々出会えるわけもないし」







「何だ、現実逃避でもしているのか貴様」







本当、夢であってほしかった。

先程からチラチラ視界に入るウェーブ

掛かった髪と、其の“存在”を必死に無

視をしていたというのに、あろうこと

かその男は私に声を掛けてきた。








「人間とは弱い存在だ、自分で理解出

来ない事が有ると直ぐに考える事を放

棄し、向き合おうとはしない。」








だから進歩せんのだ、と続け様に言わ

れ私の頭の思考回路はショウト寸前ま

で来ている。





疑問は沢山ある、始めに何故此の男が

私の部屋に居て、私の漫画を勝手に読

み漁ってるんだ。


次に、あれ…じゃあ昨日の事は現実に

起きたこと?本来喉元に有る筈の傷跡

は何処に行ったのか、そして此の男が

一体何者なのか___







「少し、聞きたい事が有るんですけど」









未だに漫画を読む相手に意を決して、

声を掛ける。

微かに声が震えたものの、ゆっくりと

「誰なんですか、貴方」と声に出す。



男はページを捲るのを止め私を切れ長

の瞳で見詰めると、直ぐにまた漫画へ

と視線を戻した。







「……っちょ、すいません。私、聞きた

い事が有り過ぎてパニックになりそう

なんで、あの、聞いてます?」






此の野郎、と内心毒突いてると部屋の

扉を叩く音と共に母親の声が聞こえて

きた。







「名無しさん起きてるの?昨日は一体

何時まで外で遊んでたのっ!」







「ま、待って待って!今着替えてるか

ら、ちょっとだけ待って!」






扉越しからでも分かる程に激怒してる

母は、今にも入ってきそうな状態だっ

た。しかし、こんな男が部屋に居ると

知ったら母はきっとその場で気絶する

だろう……。



私は何とかしなければ、と思い未だに

我関せず、と言うように漫画を読み漁

る男の腕を掴み






「早く…!クローゼットに隠れてっ」







グイグイと引っ張るも岩のように動か

ない相手は、眉を中央に寄せ「何故だ」

と言わんばかりに睨み付けてきた。






「見付かったら大変だからに決まって

るでしょっ、いーから早く隠れてって

ば!」





「名無しさん!何騒いでるの、まさか

また何か拾ってきたんじゃ無いでしょ

うね!」






「え、否…まさか!そんな訳___」






乾いた笑いを溢しながら答えるも、母

親は痺れを切らしたのかドアノブをガ

チャリと回す。



ヤバイ、その言葉が頭の中を占領し咄

嗟に私は男が読みかけてる漫画と、他

数冊の本をクローゼットに目掛け投げ

入れ







「残りは彼処に全部あるから、早くク

ローゼットに入って____!」






何を、と言うように見詰められ私は捲

し立てるように言葉を返しクローゼッ

トを指差す。



すると余程ハマっていたのか、直ぐに

クローゼットに其の巨体で飛込み、何

処かが破損した音が聞こえたのと同時

に母か入ってきた。






「……(あ、怒られる)」






鬼のような形相の母親を見ては、昨日

の出来事よりも今、目の前に立つ自分

の親の怖さに冷や汗が止まらなく成った。





 

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