ジョジョ
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その日は、空から
星が流れ落ちる光景が見れるとテレビ
のアナウンサーが話していた。
所謂流星群が見れるらしい、まだ陽射
しが容赦なく肌を焼く此の季節だが、
夜に成れば少しは涼むだろう。
そう思いながら私は、帰宅すると早め
の夕食を食べ終え___母に星見てくる。
と、伝えると少し歩いた所にある見晴
らしの良い丘へと登り、そのまま地べ
たへと腰を下ろす。
微かに張り付く中途半端に伸びた髪を
手で掻き揚げ、夜空へと視線を向けた。
まだ、星は夜空にキラキラと輝いて落
ちてくる気配は無い、まだかまだかと
ジッと見詰めていると、キラリと光っ
ていた星が放物線を描き_________そ
う、放物線を描いて落ちてきてはい
る、が……一瞬で消える筈の流れ星は、
未だ肉眼で捉えられる程の速さで、
徐々に小さかった粒が此方に近付くに
連れ、大きな岩の塊へと姿を変え、次
の瞬間__________
ドォンッ……‼
大きな地響きと風圧と共に、私の居る
場所から少し離れた場所へと落ちた。
好奇心に背を押され、直ぐ様私は隕石
が落ちた場所へと向かう。すると、大
きくそして深く陥没した穴の中を、ゆ
っくりと覗き込むと___其処には、身
を丸めた…全裸だろうか、露出が多く
長髪の男が見えた。
「……っ(映画、撮影か何かだよね…きっ
と)」
派手なアクション物だろうか、と思い
ながら辺りに撮影スタッフが居ないか
見渡すが、人の気配すらせず私は只困
惑するばかりだった。
先程まで暑くて仕方なかった筈なの
に、今は背中に氷を突っ込まれたかの
ように身体は冷え、未だに丸まっ
た“物体”に目は釘つけのまま、ゴクリ
と息を呑む。
すると、先程まで身を丸めていた“物
体”はゆっくりと腰を上げ、辺りを見
渡すと丁度近くに居た私と、視線が重
なった。
月光に照らされた其の姿は、先程より
もはっきりと肉眼で捉える事が出来た。
「き、れぃ……」
引き締まった身体は胸板が厚く、腹筋
には薄っすらと線が刻まれスラリと伸
びた脚、何処を取っても美しく感じた。
思わず零れた言葉にハッとし、直ぐに
口許を手で覆う。互いに見詰め合った
ままどのくらいの時間が経ったのだろ
う____否、もしかしたらそんなに時間
は経っていないかもしれない。
「人間の、女か」
「っえ……?」
私の目の前にはさっきまで、穴の中に
居た男が立っていた。何時の間に出て
きたんだ、という疑問は目の前に映る
眉目秀麗な顔立ちに見惚れ、言葉に出
来なかった。
が、しかし次の瞬間鋭い痛みに私は声
が出なく成った。
「ッカハ、ッ……!」
「空腹には成らん身体だが、久しぶり
に血を飲むのも悪くない」
視線を下へと下ろすと、息が止まりそ
うな感覚に陥りそうになった。
そう、私の喉元には男の指先が突き刺
さり、ドクンドクンと血管が震える度
に血を抜かれているのが伝わってき
た。
嗚呼、死ぬのかな……何て考えている
と、私の身体は支えを急に無くし、重
力に従うように地面へと落ちる。
未だにズキズキとした痛みに顔を歪め
ながら、ぼんやりとぼやける視界の中
“好奇心何て出すんじゃ無かった”と後
悔しながらゆっくりと瞳を閉じた。