ジョジョ

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※ディオ.条星家.前世の記憶有り
エリナ成り代わり主.前世の記憶無し



「君が、名無しさん?」



そう驚いたように言葉を口にする相手

に、私は不思議に思いながらも「貴方

が、ディオ?」と、母から隣に越して来

た子の名前を聞いていた為、問い掛け

返すと相手は頷き“ディオ.ブランド

ー”と小さく呟いた。







しかし、ディオと言葉を交わしたのは

それっきりで、朝一緒に学校へ行こう

と誘いに行くも、既に家を出た後だっ

たり、小学校ではクラスが別な為、休

み時間を使い足を運んでも姿は無かった。








こうもあからさま過ぎると、嫌でも避

けられている、と言う事は幼心でも分

かる為、私は深く落ち込んでいた。











そんなある日、私は何時ものように公

園に居た。手には昨日、新しくお父さ

んから買って貰った人形を抱き抱え、

一人、静かに遊んでいると少し大きな

影が二つ、ゆらりと揺れながら私の前

で立ち止まった。







爪先を見詰めたまま、もしかして…と

嫌な予感に、自然と眉は中央へと寄る。







「よぉ名無しさん!又新しい人形を買

ってもらったのかよォ」






「っまた、じゃないもん。」






目の前に居る二人は、何かと私に意地

悪をしてくる同級生で、此までに何度

も玩具を奪われては壊されてきた。




今日は負けるもんかと、ギュッと人形

を強く抱き締め、取られないように抵

抗をするが、直ぐに力付くで奪い取ら

れてしまう。







「返して!返してってば!」







大事な人形なの!と訴えるも、逆効果

らしく。意地悪そうに二人の男子は高

らかに笑っては、人形を高く持ち上げ









「やーいやーい!泣き虫名無しさん〜

返して欲しかったら取ってみろよ」







「泣き虫名無しさんには無理だろうけ

どなァ〜」









ケラケラと馬鹿にするような笑いと、

自分では何も出来ないと言う無力感か

ら目頭が熱くなり、今にも涙が溢れそ

うになるのをキュッと唇を結びながら

耐える。









そして、もう一度立ち向かうように

「返して!」と大声を上げながら腕を伸

ばすと、「うるせェな!」と力一杯押し退

けられ、ドンッと派手な音を立てなが

ら地面へと転がった私は、痛さと悔し

さから等々涙をボロボロと溢した。

其を見て二人は更に声を上げて笑って

いるのを嫌でも感じては、しゃくりを

上げながら泣いていると頭上から、聞

き慣れない声が聞こえてきた。












「其、返してあげなよ。」







「っ、な、何だよお前!」








掌で必死に目を擦りながら、目の前に

現れた相手を見ると其処には一度しか

言葉を交わした事の無い









「デ、ッ……オ?」








ズビッと鼻を啜るとディオはチラリと

横目で私を見ると直ぐに前を向いた。

その後はあっという間で、あまり良く

覚えてはいない。しかし、気が付くと

私の腕の中には人形が戻って来てお

り、あの意地悪な二人組は何か言葉を

言いながら走り去って行っていた。










「あ、ありがとうッ……でも、私のせい

で…怪我っ」





「…別に平気だ」





砂埃と擦りむいて出来た真新しい怪我

で、衣服も身体もボロボロに成ってし

まったディオの姿を見て、私は先程よ

りも顔をくしゃりと歪める。





泣いちゃダメ、今はディオの怪我を何

とかしないと。私は自分にそう言い聞

かせ、急いでポケットから真っ白なハ

ンカチを取り出し、切れて血が出てい

る口端へとそっと押し当てると、ディ

オは片眉を上げ「何を_____っ」と驚い

た声を溢した。







「私のせいで…ごめんね、でも、助けて

くれてありがとう!」




「別に…偶々通り掛かったら、助けてやっただけだ」







涙声混じりに告げた言葉は、ディオの

言葉に切り捨てられた___







「ディオは、私の事嫌いだって思って

たけど…そうじゃないみたいで、安心

した」






冷たく突き放そうとする言葉より、助

けてくれたディオの姿を見て私は、本

当はそんなに嫌われてないのかもしれ

ない___そう考えていた私は、チョロ

過ぎていたのかもしれないが、嫌われ

ているかもしれない、と言う相手に助

けられた事が何よりも嬉しかった。







「…優しい?一度助けられただけでそう

思うなんざ、チョロ過ぎるな」







フンッと嘲笑うかのように鼻で笑うデ

ィオに「其れでも、嬉しかったんだも

ん」と呟くとディオは何も言わずに、

パンパンっと服の砂埃を手で払い、其

の場を去ろうとしているのを慌てて腕

を掴み私は阻止をした。







「っ私と、友達に成って!」






取って付けた様な言葉にディオは怪訝

な顔をすると「嫌だ」と短く返す。






「私はずっと友達に成りたかったんだ

もん、だから、ディオが私を友達だっ

て認めるまで、離れないから」







「…勝手にしろ」






パッと私の手を振り解いたディオは、

私を真っ直ぐに見据えると







「俺はお前が大嫌いだ、気に食わな

い。」






そう言い残すと、踵を返し去って行っ

てしまった。




「じゃぁ、どうして…助けてくれたの」






ポツリと呟いた私の言葉は吹き抜けた

風に拐われて消えてしまった













  

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