出航!

□第四章 魚人島編
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潜水艇に戻ると、ダズ達が戻っていた。
魚人島は、以前来た時よりも海賊が少ないのと、四皇のビッグマムが今現在なわばりにしているようで、その幹部たちがチラホラ確認できたそう。
ダズとボスとの会話で解った事だ。

あぁ、やっぱり、まだルフィさん達が来る前の魚人島なんだと不安になった。
それでも、キャサリンさんたちは、ギョバリーヒルズでの買い物を楽しんできたらしく、早速、新しく買ってきた服のファッションショーをしていた。
うん、セクシー!



「明日は、買い出しに行く」


ボスが私とダズに新聞を見ながら言った。


「はい」


ダズは静かに頷き返事をした。


「はい!(やったぁ!)」


思わず嬉しくなり小さくガッツポーズする。


「でもあまり浮かれるんじゃねぇ。この島では、一部人間嫌いのヤバい魚人たちが居るようだからあまりそいつらと関わるんじゃねぇぞ!」


「は、はい!」


やっぱり浮かれてたのバレテた。



「スノウ、紅茶を」


ダズが買ってきてくれたお菓子の箱をボスが目で、チラと見、私を見る。
目で指示された!!!
自然と声のトーンが上がる。


「はい! ただいま」
















朝食を終えるとすぐに、私達は外へ出かけた。
前の日にダズが、キャサリンさん達とお店をリサーチしてくれていたので、ボスの服の調達、行ってみたかったクリミナルのショップやその他日用品の買い出しをした。
帰りにマ―メイドカフェに寄ると、ケイミ―ちゃんが居た!


うわぁぁぁ、かわいい!


でも、ボスとダズの顔を見て青ざめていた……無理もないか。
ケイミーちゃんを遠めに見ながら、三人でケーキとコーヒーを飲んでいると事件が起った。



「大変だ! 人間が、またやられたぞ!」

「キャー!」

「海賊らしいが、昨日入国したっていう七武海のクル―らしいぞ!」

「なんだって!?」

「まずいんじゃねぇのか」



七武海と聞いて、思わず立ち上がった。



「スノウ。落ち着け」


ダズがサッと立ち、外を見に行った。


「ダズが戻るまで待つんだ」

「でも……」



店の中は緊迫していて、窓を覗いていた人魚さんが叫んだ。


「こっちに運ばれてくるよー、みんな! そこを開けて」


ドアがバン! と開き、ダズが誰かを背負って入ってきた。
ソファーから客が逃げるように立ち上がる。





「コックのジャックだ!」


空いたソファーにジャックさんを寝かせた。
ダズの声に、ジャックさんが青い顔をして苦しそうに、こっちを見た。



「毒にやられたらしい」



ダズが険しい顔でジャックさんを見つめる。


「ジャックさん!」


駆け寄り、手を握る。


「うぁっ。ハァハァ……スノウちゃん」


苦しそうに私を見つめて手を引き、胸の所に持って行き両手で握る。


「ああ、こうしているだけで落ち着くよ」


青い顔で精一杯頬笑むジャックさん。



「医者は呼んだのか?」



ボスがケイミ―ちゃんに聞いた。



「も、も、もうすぐ来るって!」

「なんの毒だ」

「“タコ“の魚人らしい」



ダズが答えた。



「蛸の毒か、ヒョウモンダコか?」

「そこまでは」

「こいつ一人か?」

「えぇ」


するとジャックさんが……。


「ハァ、はぁ、こんな、楽園で、野郎と行動なんて、まっぴらだぜ。ここで死ねるなら本望だ」


「もう、ジャックさん、しゃべらないで」

「スノウちゃん、お、俺の頼み、最後の……頼み……聞いてくれる?」

「なんですか?」

「く、口に、俺の口に……キ……キス……うごっ!」



キスと言った瞬間、駆け付けたロー船長に刀の鞘でどつかれて、気を失った。



「船長! なにしてるんですか」



でも、なんだかさっきより顔色が良くなってきてるような。



「スノウ、離れろ」



ロー船長がルームを使い、ジャックさんの身体をスキャンした。
そこに魚人島の医者も到着し、診察を始めた。


「ロー船長、ジャックさんは」

「まだ、解らねぇが。見たところ、そんなに強い毒ではなさそうだ」


魚人島の医者は酸素マスクをジャックさんに付け、呼吸を確保した。


「あの蛸の毒は呼吸困難を起こすから要注意じゃ。解毒剤も今ここには無いし、厄介じゃな」

「回復まで通常どれくらいかかる」(ロー)

「そうじゃな」

「うっ。せ、船長! すいません!」


意識を取り戻したジャックさんが、起き上がった。


「ジャック、いいから寝てろ!」

「ジャックさん、まだ安静に。ね」


寝かせようとジャックさんの肩を抑えると、ジャックさんはガシッと私を抱きしめた。


「え!?」

「うおぃ! ジャック! やめろ! クロコダイルに殺されるぞ!」


ロー船長がまた、ジャックさんをどつこうとしたのが見えたので。


「せ、船長! 大丈夫です! 殴っちゃダメです!」

「……」


店内が、やけに静まり返った。




「フ…。やっぱりだ。こうしてると楽になる」




静かにジャックさんがつぶやく。
鼓動が伝わる。次第に早かった動悸が穏やかになっていくのが分かった。

しばらくして、ジャックさんが体を離した。


「ありがとう、スノウちゃん」

「大丈夫ですか?」

「ああ、なんだか力が湧いてきた。おれ、君のために生きるぜ!」

「なに言ってるんですか」

「こうゆう意味さ」



すると酸素マスクを外し迫ってきた!!!

ゴン!


「ったく。いい加減にしろ! ジャック!」



ロー船長が、気絶したジャックさんをスキャンした。


「あ、ボス」


ボスの視線に気づき、顔を見るも。

フ……と鼻で笑い目を逸らした。何?
笑った? 笑い堪えてない。


「蛸の毒は神経毒じゃから。それだけ動ければ心配なかろう」


魚人の医者が笑って帰って行った。


「スノウ、悪かったな」


ジャックさんを担いで、ロー船長が言った。


「いいんです。あ、そういえば船長も一人だったんですか?」

「あ……あぁ……まあな」

 

気まずそうな顔で、答えた。



「ふぅ〜ん」

「じゃあな」



と、店を出ようとした時。



「船長!船長!」


ベポが入ってきた。


「ベポ。ジャックを」

「あい」

「ジャック、大丈夫だったのか?」

「あぁ」



そこにペンギンさんと、シャチさんが嬉しそうに店に入ってきた。


「船長〜!ここにいたんですかぁ〜。最高でしたよ〜この島の娼館!」



「……お前ら」


ロー船長が怖い顔して、顎で私を指した。


「あ、やべっ。じゃあ、俺らもう」


そそくさとッ店を出て行った。
一人でいた訳って。もしかして“娼館“って、


「いくぞベポ!」

「あい」



ロー船長は帽子を目深にかぶり店を出て行った。


“娼館”という言葉を聞いて明らかに私が固まったのを見て。



「奴らだって男だ、仕方ねぇだろ。いちいちそんなんで固まるんじゃねぇ」

「でも……」

「なんだ」

「いえ、なんでもないです」



“ボスもそうゆう所に行くんですか?”


聞こうとしたが止めておいた。
想像するだけで心が痛んだ。長くは無いが、出会ってから、今まで、ボスにはそうゆう雰囲気も無かったし、そういった感じの女の人も周りにはいなかった。でも、それはただ、私が知らないだけで、ボスやダズが、そうゆうところに行っていても決しておかしくはないと考えてしまうのだった。


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