出航!

□第二章
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アサヒと戻ってきたダズは、見るからに疲弊しきっていて、部屋に入るなり、入って右側のベッドの上段で寝てしまった。アサヒも疲れた感じで眠たそうにしている。何をしてきたんだ?


「ボス、少し休みますね」

アサヒは、ダズの向かい側のベッドの上の段に上がりうつ伏せに倒れこんだ。

おいおい…。


「アサヒ、お前は下に寝ろ」


寝入りそうなアサヒを慌てて起こした。


「ええっ! ボスも上の段がいいんですか?」

「馬鹿か! おめぇは寝相が最悪だからだ。さっさと下で寝ろ」

「…ふぁい」


アサヒは素直に、もぞもぞと起きあがり、下の段に転がり込み、カーテンを閉めた。しばらくすると寝息が聞こえてきた。相当疲れていたようだ。



ガンっ!


数分後、足がベッドの柵を越えて飛び出してきた。足を戻しながらベッドを覗くと。案の定、何も被ってねぇ。それとも、かぶったのに毛布は足元に行っちまったのか………毛布をかけてやるが、ピクリともしねぇ。


「ったく…」




しばらくして、コックが夕食を運んできた。
二人があまりに、気持ち良さそうに寝ているようだから、起こすのはやめておいた。
(小声)こいつらは起きたら食堂に向かわせると、コックに伝え、夕食のシチューを食べ、ワインを飲んだ。

悪くねぇ。




その後、トラファルガーが今後の事について話したいと、部屋に来た。


「なんだ寝てるのか。夕食はちゃんと食べたのか?」


ベッドを覗き、頬を少しピンク色にして、ぐっすりと眠るアサヒを見た。寝像を見て少し驚いたのが見て取れた。無理もねぇ。


「寝ちまって、まだだ」

「あの出血量からして、かなり食べておかないと持たねぇはずなんだが、顔色も大丈夫だ。………この女どうゆう身体してんだ?」

「興味深いか?」

「まあな」


ニヤリと笑った。
ドアに寄りかかり、持ってきたビールをぐっと飲む。


「最初は、ヤべぇ奴と手を組んじまったと後悔したぜ。
 (アサヒを指さし)こいつが本当に死んでいたら、俺はお前を次の港で降ろすつもりだった」

「そうか、そんなに意外だったか?」

「あぁ」

「だろうな」






「ところで、これからの事なんだが、新世界を出て、グランドラインを逆走し、カームベルトを超えイーストブルーに入る。問題は、イーストブルーからノースブルーに抜けると言ったが……本当にあるのか? そんな抜け道が……」

「ある人物から、昔聞いたことがあってな、とりあえず確かめたい」

「抜け道か……面白い。金さえ払ってくれりゃ、俺たちはまあいいが、この船やクルーたちに被害が及ぶような航路だったらすぐに引き返す、いいな」


「ああ」


「まあ、そのクルーたちは、お前のお陰で明日から上手い飯が食えると喜んでいる……俺もできるだけ手を貸す」

「フッ、お互い様だ!」

「済まねぇな。なにせ、王下七武海とは名ばかりの、この貧乏海賊団だ」

「海賊なんだ、略奪でもすりゃいいのに」

「クルーたちにに猛反対されンだ、仕方ねぇだろ」

「クハハハ」

「そういや、ベポから聞いたんだが、ダズとこの女もう、うちの団員達とかなり打ち解けてるらしいぜ(笑)」

「ダズがか?」

「肩組んでビンクスの酒を何度も歌っていたらしい(笑)」

「クハハハ!(アサヒがいる手前断れなかったんだな。)帰ってくるなり疲労困憊でこのザマだ。(笑)昨日から一睡もしてねぇから仕方ねぇか」

「明日、みんなを集める。そこで、この女のことをクルー達に話す。いいか?」

「あぁ」

「あ、そうだ。クロコダイル。 一応、医者として言っておくが、診察で解ったんだが。(小声で)この女“処女”だって知ってたか?」
 
「………」 



思わず開いた口が塞がらなかった。


「じゃぁ」


軽く会釈しトラファルガーは部屋を出て行った。














立ち上がりアサヒのベッドを覗いた。

ド・フラミンゴには、本当に何もされてなかったと、安堵するも。処女であると言う事に頭を抱えざるをえなかった。助ける為とはいえ、また傷つけ、怖い思いをさせてしまった事を後悔した。そんな俺を、“ボス”と慕ってくれてはいるが、男としてどう思われているのだろうか。

昨晩、フラミンゴ野郎からキスされたと聞かされ、気に食わなかった。思わず抱きしめただけであんなに赤くなりやがって。

スヤスヤ眠る頬を右手でそっと撫でる。



「…ん」

起したか!? 

アサヒは寝返りをし仰向けになった。



「んふふふ…」


幸せそうに笑った。

それからまた気持ち良さそうに眠るので、たまらなくなる。



「フ…」


先が、思いやられる。


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