春色の空に

□奥に潜む心と隠された優しさ
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さくらの検診日、遥は付き添いとしてペルソナへやって来た。
さくらは一ヶ月振りの病院だが、遥は二日振り。


「なんか、病院に慣れてきた自分が怖くなってきたよ…」


「あんた超がつくほど健康なのに、私よりこの病院来る回数多いとか可笑しいよね(笑)」


「うん。普通ならあり得ないよね」


しかも行く先は産科ときた。妊娠すらしていないというのにだ。


「やっほー加江ちゃん」


「やっほー遥ちゃん。二日振りだねー」


「お姉ちゃんより通ってますわー」


下屋と何気無い挨拶を交わしていると、奥から鴻鳥が笑顔で近づいてきた。


「こんにちわ、遥さん。今日はお姉さんの検診の付き添い?」


「こんにちわ、サクラ先生!はい、『今日』はお姉ちゃんの付き添いでーす」


笑顔で挨拶する二人。
鴻鳥がベイビーと発覚して以降、少し距離が近くなった感じがした二人は、お互い名前で呼び合うようになった。


「でも、本当に気になるなー?なんで遥ちゃん、急に鴻鳥先生を名前で呼ぶようになったのー?」


「それは、お友達になったから!ね?サクラ先生」


「うん。これから先、遥さんのアロマを定期的に買うだろうし、ずっと堅苦しいのはちょっとね」


「ってことを私がサクラ先生に言ったの。せっかくこうやって知り合えたんだし、堅苦しいのはやめましょう!ってね」


「気持ちは分かるかも」


「それに、サクラ先生の名前はお姉ちゃんと一緒だからなんか余計親近感あるんだよねー」


「性別、違うけどね」


ケラケラ笑う三人に、小松が近づいてきた。


「おーす遥ちゃん。次お姉さん呼ばれるから、早く行った方がいいよ?」


「はーい。またあの仮面先生と顔を合わすのが心配だけど」


あれ以来、四宮と遥は険悪な空気を醸し出すようになった。
会う度に嫌味を言う四宮。そしてそれを嫌味で返す遥。


仲が徐々に良くなっていく鴻鳥とは反対に、四宮とは徐々に悪くなっていく。


嫌いではないのだが…


苦手、なのかもしれない。
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