双星の翼

□片翼の少女
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  ──翌日の昼間

 

「…………ん、ぅ……」


「──今日は随分寝坊助だな」

清潔感のある白で統一された、薬品の匂いがうっすらと漂う一人部屋の病室。そこに置かれているこれまた白いベッドの上で目を覚ました銀髪の少女──『星伽 澪羽』に話し掛けた、黒猫を思わせるような雰囲気の青年──『月詠 イクト』。

「……イクト、さん……いつ来たですか……」

「お前がいつも起きてるくらい」

「……だいぶ、寝てたんですね、ボク。二度寝なのに」

「昨日何してた」


「寝る前、少し×たま狩りした……ふわぁ…」

「二度寝でってな……お前、そんな寝こけるくらいなら×たま狩りなんて他の奴らに任せればいいだろ」

「……別に、これくらい平気だもん……寝たら、ちゃんと元気なる」

「……バーカ」

ベッドの上で拗ねた様子の澪羽の頭を、イクトは乱暴に撫でる。素直ではないが、心配したというイクトの気持ちの現れだった。


「澪羽ちゃん、翼瑳くんがもうすぐで着くわよ」


「今、面会手続きをしてるぜ!」


その時、開きっぱなしの窓から『アリス』、『ムーヴ』、『シュテル』という澪羽の3人の『しゅごキャラ』が入ってくる。すると、イクトは窓枠に足を掛け出ていこうとするのを、澪羽は引き留める。

「……イクトさん、ボク、退院出来る事になったよ」


「そうかよ」

「歌唄ちゃんにも、伝えてといて」

「あぁ」

という短いやり取りを済ませると、イクトはキャラチェンジで猫耳と尻尾を生やし、窓から出ていった。

「……退院したら、何しようか」

「何でも出来るわ、澪羽ちゃんの好きな事!」

「遊んだり買い物したり!」

「ライブやコンサートにも行けるよ!」

「今まで出来なかった事、全部やろうね!」

「うん、ちょっとだけ、楽しみ」

あまり変化のないその表情には、僅かに喜びの色が浮かんでいた。


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