ランシーン夢

□トリップ
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しばらくするとゴウンゴウンと何かの音が遠くから近付いてくる。

ゆっくりと目を開けるとそこは大きなファンのある、薄暗い部屋だった。

私はしばらく放心していたが徐々に落ち着きを取り戻す。冷静になるにつれ段々『ここは何処だろう、部屋のベランダにいたはずなのに?』という疑問が頭の中に思い浮かぶ。

確かに、私が気を失う直前にやったおまじないは自分の思い浮かべた世界へ行けるというものだった…

だけど、本当に異世界へ?
とても信じられそうにはない。

しかし今目の前にある光景に私は見覚えがある…おまじないで行きたいと願った、レジェンズというアニメの中に存在している部屋だ。

しかし、そうであればここに部屋の主が見当たらない。

「どうしよう…どうしよう…!まさか本当に…でも、狼狽えてる場合じゃないよね…というか、ここどう見てもランシーンさんのいる場所だよね…?」

私はもう一度、現実を受け止めるようにゆっくりと部屋中を見渡す。

これは夢なのではないか?と思いいつもランシーンさんが座っているであろう場所に恐る恐る触れてみる。

「…ちゃんと、触れてる…多分この感触は…夢なんかじゃない…現実なんだ…」

ゆっくりと触れていた場所から手を離し、またしばらく考える。

ここが本当にアニメの中に出ているランシーンのいる部屋なら、なぜ部屋の主である彼がいないのだろうか?

たまたま作中の外へ行っている回の時に、ここに来てしまったのだろうか…

「…考えても、しょうがないよね…ここから出るなりしないと…でも出口は…どこだろう?」

とあたりを見まわそうとした瞬間…

「ここで何をしている…」

突然後ろから低く、響くような声が聞こえた…急いで振り向くとこの部屋の主であるランシーンが、睨むように私を見据えていた。

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