松西
□忘れられない
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松村side
七瀬のことなら何だって肯定したくなった。
七瀬のためなら何だってしてあげられる自信があった。
周りの友達から止められもした。
女の子同士、そんなに好きになっても報われないからダメだって。
でもまっちゅんにとっては初めてここまで人を好きになれた。初めてこんなに人を愛しいと思うことが出来たんや。
だからこそ七瀬に告白してOKが貰えた時はどうしようもなく嬉しくて。
それから何度も何度もデートを重ねて、当たり前やけど付き合う前よりももっともっと七瀬と一緒にいられる時間は増えていった。
でもお互いに忙しくてお仕事の時以外で会えることは少なくなって、次のデートはあそこへ行こうという実現が出来ない口約束ばかりが増えていった。
そうしていつしか、あまりにもお互い時間が取れなさすぎてデートの話すらもしなくなってしまっていた。
西「なぁまっつん。もうななたち付き合ってるとか、彼女とかやめへん?」
付き合い始めてしばらく経ったとある日。まっちゅんが1番恐れてた言葉を1番言われたくない人から言われてしまった。
もしこの時、まっちゅんの本心を伝えられていたら未来は変わってたのかもしれへん。
でも素直やないまっちゅんは
松「…そうやな!まっちゅんもそろそろこの関係終わらせたいって思ってた。」
そう告げた時の七瀬がふと凄く寂しそうな顔をしたのを今でも思い出す。
もしかしたら七瀬は私と同じ気持ちやったんやないかな?まっちゅんの気持ちが知りたくて賭けに出たんやないか。
それでも、もう口から出した言葉は戻ってはくれない。七瀬の精一杯の駆け引きに最もダメな回答をしてしまったまっちゅん。もう2人の関係は終わった。
家で1人になると考えてしまう。
これで良かったんや。ほとんど会えない恋人だったらいない方が自由や。
それがまっちゅんの本心?
いや、そんなことを考えると毎回目から溢れだしてくる涙が答えや。
良いわけが無い。ほとんど会えなくてもまっちゅんは七瀬のそばに居たかった。
自分でも怖いくらい覚えてる。私が好きだった、今でも好きな七瀬の仕草や七瀬の香り、七瀬の感触が。
おかしいやんな?別れたはずなのに考えることと言えば七瀬のことばかり。
恋がこんなに苦しいなんて、恋がこんなに悲しいなんて七瀬を本気で好きになって、そしてその恋が終わってしまってから知った。