白西
□特別な日曜日
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白石side
今日は私も恋人の七瀬もお仕事が休みの日曜日。2人とも外に出るより家に居る方が落ち着くタイプだからレンタルしてきた映画を見ていた。
しばらく映画を見ていると七瀬が突然、
西「なぁ、まいやん。まいやんはななのどこが好きなん?」
こんなことを尋ねてきた。
映画を一旦止めて改めて恋人の姿を見る。
白「毎日見てても飽きないくらい七瀬の笑顔が好き。それに女の子らしい身体も好きだよ。」
そう答えると、七瀬は頬を軽く膨らまし、
西「外見ばっかりやん。もう!大嫌い!」
とちょっとだけ不貞腐れた顔をする。
ごめん、七瀬。嘘ついた。
本当はもっともっと沢山あるけど、私は上手く言葉に出来ないからまだ謎ってことにしておいて?
でも、人を好きになるのに理由なんていらないでしょ?
七瀬に聞かれて思わずはぐらかしてしまったけど、映画の続きを見ながら七瀬の好きな所が次々と思い浮かぶ。
強がりな七瀬がふいに見せてくれる儚げな涙には勝てません。
七瀬は私を束縛したりしない。でも何も言わないからこそ、私は七瀬以外の子に余所見ができないんだ。
芸能界の仕事をしてれば辛いことも悲しいことも沢山あるけど、七瀬が何気なく言う「頑張って!」がどれほど私のチカラになってくれただろう?
逆に七瀬がその小さな身体で耐えられない時は私がすぐに抱きしめてあげるから、どんなに時が経って私たちの周りの環境が変わっても、起きたら寝癖のひどいキミのままで私のそばにいて。
七瀬が不貞腐れて時々口にする「大嫌い」も私にとっては反対の意味に聞こえるんだ。
人に「嫌い」なんてことを言う子じゃないって知ってるから。七瀬の「大嫌い」は私だけに言ってくれる言葉だもんね?
やっぱり改めて言いたい。
もう1回映画を止めて七瀬に向き直る。
白「七瀬。」
西「ん?」
白「私はどんな時だって七瀬のことを愛してるよ」
そう言うと七瀬は少しだけ恥ずかしそうに
西「ななも」
と答えてくれる。
私たちが生まれるよりも遥かに前から「愛してる」なんて言葉は使い古されてきたけど、私が七瀬を想って使うとこんなにも素敵に聞こえる。
それはやっぱり私にとって「愛してる」は七瀬のためだけにある言葉だから。
世間はいつもと同じありきたりな日曜日。
でも私たちにとっては2人の気持ちを確かめ合う特別な日曜日。