白西
□知ってることと知らないこと
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白石side
女子大生のなりたい顔ランキング1位にもなったことがある私だけど、皆は知らない。そんな私の素顔が恐らく世界中の誰よりも醜いということを。
白「おはよ〜」
楽屋に挨拶しながら入ると真っ先に目に入ってくるのは七瀬。引力とでも言うべきなのか何故かすぐに目が行ってしまう。
西「おはよう。まいやん。」
そんな私に七瀬は他のメンバーと変わらないように挨拶をしてくれる。
でも、あなたは知らない。あなたがその笑顔を向けてくれるだけで私の胸が張り裂けそうなほど痛むことを。
その可愛い笑顔も、その白い肌も、その柔らかそうな唇さえも全て私の親友のあの子の物だと思うだけで嫉妬で狂いそうになっているということを。
動揺を悟られない様に七瀬とは少し離れた席に座る。すると、
松「おっはよーー!!」
とびきり元気な挨拶で入ってきたのは私の親友であり、七瀬の、、彼女。
目で追っていると
松「おはよう、なぁちゃん。」
西「おはよう。まっつん。」
2人で軽く微笑み合う。私は知っている。2人が他のメンバーに向けるのと変わらない笑顔をお互いに見せていても、込められた意味は全く違うということを。
松「あぁ〜まいやん!今日も宇宙で1番可愛いなぁ!愛してるで!」
私に気づいた沙友理ちゃんがいつものバカップル芸をしてくる。
白「ううん。さゆりんの方が可愛いよ。私も愛してる。」
違う。私は知ってる。あなたが本心で宇宙で1番可愛いと思っているのも、愛してるのも私じゃなくて七瀬でしょう?
でも、あなたは知らない。私が本心で可愛いと思ってるのも愛してるのも、あなたと同じ。あなたの彼女だってことを。
沙友理ちゃんの肩越しに見える七瀬は笑ってる。でも少しだけ不満気で。きっと沙友理ちゃんが私に言ってる言葉に嫉妬してるんだろう。私なら、私が七瀬の恋人ならそんな顔させないのに…。
親友からその恋人を奪う度胸も、友人関係を壊す勇気も無い私だから。こんなことを思ってしまう。
「私とは関係ないところで、ケンカして早く別れちゃえば良いのに。」
知っているのに。七瀬が沙友理ちゃんと一緒にいる時にどれ程幸せそうな顔をしているか、どれ程可愛い笑顔をしているか知っているのに。そんなことを思ってしまう私の素顔は、
やっぱり醜い。