白西

□意地悪
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白石side

私には同棲している彼女がいる。同じ乃木坂46のメンバーの西野七瀬。負けず嫌いだけど泣き虫で甘えん坊。そんな彼女のことを私は誰よりも愛してるし、理解してると自負してる。

今日は七瀬とは別の現場。早くお仕事を終わらせて七瀬に会いたい。そんな気持ちで自分の撮影する番を待っていると、

ヴーッ!ヴーッ!

携帯のバイブレーションが鳴った。

画面を見ると私たちの現場に同行しているマネージャーとは別のマネージャーから。どうしたのかと思って出ると、

マ「白石か?西野が過労で倒れた!今日の仕事は中止にして家に送り届けたから。あ、でも特に病気とかじゃないし少し休めば元気になるからな。白石は気にせず仕事を続けてくれ。」

と言うマネージャーの声が耳に入ってきた。

正直、「西野が過労で倒れた」以降のマネージャーの言葉は脳が理解しなかった。七瀬が倒れた。その事実のみが私の頭の中を支配していたからだ。

白「七瀬が、、倒れた、、?ウソでしょ?」

小声で呟いていると、

衛「ま〜いやん!どうしたの?」

一緒の撮影をしている美彩から声をかけられる。いつもならはしゃいで、スキンシップもして、美彩とワイワイ過ごすが今はそんなテンションじゃない。

「七瀬のもとに行く」

それだけしか考えられない。

私が反応しないことに不思議そうな顔をしつつも美彩は離れていった。そして、

「はい次〜白石さんお願いしま〜す」

私の撮影の番がやってきた。

早く終わらせて、、早く、、!!!

気持ちが急いているのか何枚撮ってもOKが出ない。するとカメラマンから

カ「白石さん。笑顔がぎこちないですよ。もっと心からの笑顔でお願いします。」

指摘が飛ぶ。

心からの笑顔?何言ってんの?自分の彼女が倒れたって時に心から笑えるわけないでしょ!?

そんな沸騰しそうな気持ちは口からも出ていたらしく、スタッフさん全員がポカーンとした顔をして私を見ていた。

カ「あ、、すいません。じゃあ落ち着いたらで良いんで、、」

私を怒らせてしまったと思ってばつが悪そうに謝ってくるカメラマン。

白「落ち着いたらで良いんですね?じゃあ今日はもう帰ります!」

それだけ言うと私は楽屋に戻り自分の荷物を掴むと誰の制止も聞かず急いで私と七瀬の家へと向かった。



西野side

ななには同棲してる彼女がおる。凄く綺麗で優しくて、完璧にも見える白石麻衣。でもちょっと困ったことがある。それは彼女が異常にななに対して過保護やということ。愛されてるのが十二分に伝わって嬉しいんやけど、時々めんどくさい時もある。それが今。。

西「ん、、」

トイレに行きたくてベッドから起きようとすると

白「どうしたの七瀬!?」

リビングから血相を変えて寝室に飛び込んでくるまいやん。

西「トイレ」

そう告げてベッドから降りると

白「あー!自分の足で立たなくて良いよ!おんぶしてあげる!」

慌ててななの前にしゃがみ込んで背中を向けてくるまいやん。

西「自分で行くから良い。」

そんなまいやんを無視してトイレに行く。冷たいようやけどななも子供やない。トイレにまで付き添われるのは嫌や。

ベッドに戻るとななが寝ていた場所の隣にまいやんが寝転んでいる。

白「七瀬おいで!一緒に寝よ?」

穏やかな笑顔でななを迎えるまいやん。そんなまいやんが愛おしくて大人しく隣に寝る。するとまいやんはななの頭を撫でながら、

白「七瀬。七瀬は家にいる時は何もしなくても良いんだよ?七瀬のことはぜーんぶ私がやってあげるからね?」

全部?と引っかかるところはあったものの、疲労と一定のリズムで頭から感じるまいやんの温もりに逆らうことが出来ず、そのままななは夢の世界へと落ちていった。



白石side

七瀬が倒れてから少し日が経った。あれからというもの私は七瀬にせめて家にいる時は疲労を溜めさせないように最善を尽くしてきた。

七瀬が何かを取ろうとすれば私が先に取って渡してあげる。眠そうな時は抱っこしてベッドまで連れて行ってあげる。七瀬も最初は嫌がっていたが、今ではトイレにも扉の前まで連れて行ってあげることもある。



今日もあの日と同じで七瀬とは別の現場でお仕事。楽屋で沙友理ちゃんに惚気ていると、沙友理ちゃんから思いも寄らぬことを言われた。

松「ホンマにまいやんはなぁちゃんのこと愛してんねんな。でもなぁちゃんはまいやんのこと同じくらい愛してるんかな?」

その言葉に

「もちろんだよ!」

とは返したものの、考えてみると愛情表現をしてるのは私だけで、思い浮かぶのは七瀬のめんどくさそうな顔ばかり。

もしかして七瀬は私のこと愛してくれてないのかな、、?

そんな疑問が心の中に生まれてしまったからこそ思いついた意地悪な作戦。。


七瀬は私がいなくなったらどうなるんだろう?


今日は七瀬の方が遅くまでお仕事。七瀬も私のスケジュールを知ってるから帰ってきたら私がいると思い込んでる。それなのに私がいなかったら心配してくれる?して、、くれるよね?


私はリビングが一望できる場所に隠れて七瀬の帰宅を待つ。

白「そろそろかな、、?」

そう呟くのとどちらが先だっただろうか?

ガチャ、、

と玄関が開く音がして「ただいま〜」と七瀬の、私が1番好きなのんびりとした声が聞こえてくる。


本当は今すぐにでも飛び付いて、抱きしめて、「おかえり」と言ってあげたい。そんな欲望をグッと堪えて七瀬の反応を待つ。

西「あれ?まいやん?おれへんの?そうや!携帯!」

抜かりはない。電源を切ってポケットの中だ。

西「繋がれへん。。まいやん?まいやんどこ?どこなん?、、なぁ、、おるんやろ?まいやん?」

段々と涙声になっていく七瀬。
ついには声を上げて泣き出してしまった。


そんな七瀬を見ていて、やっぱり七瀬には私がいないといけないんだ。という実感とともに愛が溢れ出して止まらない。

可愛くて誰もが守ってあげたくなるようなこの子を守るのはやっぱり私だ!そう決意を改めて固めると七瀬に近づく。


白「七瀬…」


そう呟くと凄い勢いで私を見上げる七瀬。その顔は涙でグシャグシャになっていた。滅多に感情を出さない七瀬が私のために泣いてくれたんだ。そう思うと無意識のうちに七瀬を抱きしめていた。


白「七瀬…ゴメンね?私、自己満足のために隠れてたんだ。本当にごめん。意地悪して。私は七瀬を置いてどこにも行かないよ?ずっと一緒にいるから。」

そう言って七瀬の頭を優しく撫でてあげる。

西「まいやん…まいやん…なな、良い子にするから。ずっとまいやんと一緒におりたい。」

まだ涙でグシャグシャな顔でこちらを見上げるからそんな七瀬の唇に優しくキスを落とした。




意地悪してごめんね。もう不安になんてならないから。ずっと一緒にいようね?
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