白西
□月夜
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西野side
ななはここからの景色しか知らない。
物心がついた時からずっと…。
そして自分の命がもう長くないこともわかっていた。
両親、病院の先生
皆がななをフォローしてくれるけど、それがウソだってことは自分が1番わかってる
この世を恨んだ。
何で?どうして?どうしてななだけがこんな目に遭うの?
ななの荒れた心とは裏腹に、星が降ってきそうなほど澄んだ月夜に視線を移し、あと何度夜を越えられるのかを考えながら目を閉じた。
しばらく目を閉じていると
??「あなたの願い…叶えてあげよっか?」
そんな声が自分に向けてかけられたように感じてななはゆっくりと目を開けた。
そこに居たのは白い肌が特徴的なとても綺麗な女の人だった。
西「…誰?」
白「私、麻衣っていうの。」
西「麻衣…さん」
白「そう。それでどう?あなたの願い叶えてあげよっか?」
西「え?」
白「私、月から来た宇宙人なの。あなたが望むなら何でも1つだけ叶えてあげる。」
何をこの人は言ってるんやろう?
そう思ったがななにとって今更この人が誰であっても、この人の言うことが別にウソでもホントでもどっちでも良かった。
だからか素直に本当の今の願いが溢れ出した。
西「ななの…願いは…」
白「うん」
西「もっと生きたい…」
白「そっか」
そう言うと麻衣さんはうっすらと微笑みを浮かべてななのまぶたに触れて目を閉じさせた。
麻衣さんにされるがまま目を閉じると、ななのおでこ、頬っぺた、唇、の順番にムニュと柔らかく温かい感触が触れる
西(キス…されてる?)
その感触にしばらく目を閉じたままにしていたが、さっきまで感じていた麻衣さんの気配を感じなくなって不安になる。
目を開けるとそこにはもう麻衣さんの姿は無かった。
目を開けた先には開けっ放しの窓と、月明かりに照らされて少しだけ明るくなった静かな病室と、ベッドで横たわってるななだけの世界があった。
麻衣さんは月に帰ってしまったのだろうか?それともただの幻覚だったのだろうか?
窓から吹き込んでくる風を少しだけ心地よく感じつつななは眠りに落ちた。
翌日
目を覚ますと病院内が騒然としていた
昨日の夜、この病院で人が飛び降り自殺をしたらしい
しかも丁度ななの病室の下でその人は息絶えた姿で見つかったらしい
西(昨日の夜といえば…麻衣さん…あれは…夢だったんかな…?)