白西

□青空が茜色に染まるころ 後編
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白石side


奈々未に言われて告白する気にはなったけど、私が振り絞った勇気は冷たくしてしまった七瀬を直接呼び出すにはあまりにもちっぽけで。


七瀬がいない隙にこっそりと差出人不明の手紙を机の中に忍ばせる。


ずっと好きだったこと。その想いを伝えたいってこと。それだけを書いた手紙だった。


白(もしも放課後、七瀬が手紙に気づいて来てくれたら私は告白する。)


こんな時にまでまだ「七瀬が来てくれたら」なんて逃げ道を用意してる私自身が心底嫌になった。



放課後を告げるチャイムが鳴る。クラスメイトが帰り支度をして続々と教室を出ていく中で私は横目で七瀬の様子を伺っていた。


机の中から教科書を取り出す七瀬。教科書の上に乗っている私からの手紙。首を傾げた後、手紙を開く七瀬。


その様子を確認すると私は急いで教室を出た。



昼休みに奈々未にアドバイスを受けた屋上で七瀬を待っている私。


来て欲しいような来て欲しくないような複雑な感情を抱えて屋上から街を見ていた。


やがて後ろで扉が開く音がして振り向くとそこには七瀬が立っていた。


交差する私と七瀬の視線


すると突然七瀬の目が潤み雫が落ちる


白「七瀬…?」

西「ななのこと嫌いなくせにっ…何でこんな弄ぶようなことするん…?そんなにななが憎いん?まんまと屋上まで来たななを見て笑いたいん…?」


泣きながらも怒気の篭った視線で射抜かれる


七瀬が来てくれるまで色々と考えてた

今までの態度を謝ろうとか本当は照れ隠しで冷たくしちゃったとか…

でも今七瀬を目の前にしたら出てくる言葉は1つしか無かった


白「大好きなのっ…!!私も七瀬が!!」


屋上に響く私の大声

ついにさらけ出してしまった私の本心


七瀬はというとさっきまでとは一転、少し驚いた表情で私を見つめていた


白「大好きで大好きでしょうがなくて。話しかけてくれるのも嬉しかった…でも私ってバカだから素直になれなくて…。本当にゴメン!」


私が言い終わると七瀬は涙を拭いて私の目の前まで歩いてきた


白「七瀬…」


そして私が目の前の七瀬に呼びかけるのと同時にパンッという乾いた音と私の頬に鈍い痛みが走った


西「…今まで傷つけられたお返し」

白「ゴメン…」

西「それに今まで散々ななのこと遠ざけといて急に好きとか言われても信じられへん」

白「じゃあどうしたら信じてくれるの?」

西「まいやんが思う1番愛が伝わることやって欲しい…」


そう言う七瀬の頬は真っ赤に染まっていた


白「じゃあ七瀬…目、瞑ってくれる?」

西「うん…」


奈々未にアドバイスを受けた昼休みの時とは違い、茜色に染った空の下で私と七瀬はゆっくりとキスを交わした


唇を離し


白「私の愛、伝わった?」


そう聞くと


西「まだわからんから…もっと…」


そんな可愛いワガママなら何度だって叶えてあげられる

七瀬に私の愛が伝わるように、七瀬が欲している以上に愛が伝えられるように私は何度も七瀬のその綺麗な唇に私の唇を落とす


燃えるような夕日に包まれて私と七瀬の恋も燃え始めた



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