噂の五人姉妹

□妹を独占中…
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「「「ただいま〜」」」

「「「おかえりー」」」

誰もいない家に、帰った挨拶とお迎えの挨拶をする。

普段私が一人で帰ってくるともっと騒がしいんだけど、これはこれで少し寂しい気もする

靴を脱ぐと、袖を控えめに引っ張られた

「ん?」

「Siro。お姉ちゃん、約束、、」

覚えてくれてた…私もう忘れられたと思ってたよ、、
私の妹マジ天使、うん、私ファンクラブ入ろうかな、、

感動しすぎて返事を忘れてると、目に少し涙をためた飛鳥が心配そうにもう1度袖を引っ張った。

ダメだ、お姉ちゃん恋しちゃいそう

多分、過去最高にニヤニヤしながら飛鳥の頭を撫でる。

「うん!でもちゃんと手洗いうがいして、制服着替えてからね」

「そ、そんなの分かってるよ!」

「うん」

「待ってるから、早く来て、、」

「うん、超急いでいく!」

飛鳥の顔に笑顔が戻ったところで、部屋着に戻った七瀬お姉ちゃんが抱き着いてきた。

「なぁーSiro。〜、ななと遊ぼ〜」

「んーだめー、今日は飛鳥を独占する日なの」

「えー、ええやん飛鳥独占は明日にして、ななと遊ぼ」

「もう七瀬お姉ちゃん!今日Siro。お姉ちゃんは私に構って忙しいの!もうSiro。お姉ちゃん早く行くよ!」

「あ、ちょ、飛鳥制服着替えなきゃ」

「もう、早くしてよ」

「うん」

ダッシュで部屋着に着替えて『飛鳥』と書かれたネームプレートがかかっているドアを3回ノックしてから中に入ると、椅子がくるっと回り、

少し怒っているのか、頬を少し膨らませて、「遅い」と一言言った。

「ごめんごめん」

謝りながら頭を撫でると、「子供扱いしないで」と怒られた。

「それで?なにする?あ、飛鳥の言ってた本読みたいな」

「それは後で、ねぇ、勉強教えてよ」

「別に良いけど、お姉ちゃん達に教えて貰ったほうが分かりやすいんじゃない?」

「いいの、私がわざわざお願いしてるんだから、早く教えて」

上目遣いと上から目線にやられ、教える事になったのは良いんだけど、

何故か椅子が一つしかないからという理由で私が椅子に座り、その上に飛鳥が座って教えるという、謎の体制で勉強が始まった。

「ねぇ、飛鳥」

「なに?」

「この体制辛くない?人とくっつくのあんまり好きじゃないじゃん」

「別にいい、、くっつくのは好きじゃないけどお姉ちゃんは別だもん」

「そっか、ふふっ飛鳥が素直だ、可愛い」

思わず可愛くて頭を撫でると、子供扱いしないでとまた怒られてしまった。

ただ、隠しきれていない笑顔が見えたから、ホントに嫌ではないらしい。

もう1度頭を撫でると、ピクっと一瞬動いて後は何も言ってくれなかった。

流石に怒られそうなのでここら辺で辞めておこうと頭から手を離す。

「、、いい」

「ん?飛鳥なんか言った?」

「い、今は二人しか居ないから、、別に撫でてもいい」

なんだこの可愛すぎる妹は、天使か

髪の間から見える可愛らしい耳は赤く染まっていた。


一時間くらいたってまだ頭を撫で続けていた私の腕が悲鳴を上げ始め、飛鳥の集中も切れてきた時にドアがノックされた。

ドアを開けるとお盆を持った七瀬お姉ちゃんが立っていた。

「飛鳥、Siro。〜お菓子持ってきたで〜」

「やった!ありがとう七瀬お姉ちゃん!飛鳥も喜んで…」

「別に頼んでないし…」

「でも、飛鳥が好きなプリンもあるよ?要らないの?」

「、、いる」

不機嫌そうな顔をしながらも、ひと口食べると、「美味しい」といいながら笑顔になってる。

やっぱり飛鳥はまだ子供らしい

「お姉ちゃんありがとね、飛鳥も喜んでるみたい」

「えへへー、お姉ちゃん流石やろー?もっと褒めて〜」

満面の笑みを浮かべながら、腕に手を回され、お姉ちゃんとの距離がぐっと近くなる。

「んー、お姉ちゃん偉いね」

「えへへ、そうやろ?」

「うん」

頭を撫でてあげるとお姉ちゃんの笑顔がニヤニヤに変わってきた。

「Siro。お姉ちゃんどいて、私が撫でるの変わってあげる」

何故か眉間に皺を寄せながら、七瀬お姉ちゃんの頭に手を乗せ、撫で始めた。

「あ、飛鳥!やりすぎやりすぎ、お姉ちゃんボサボサ過ぎて顔見えなくなっちゃってるから!」

流石に止めに入ると七瀬お姉ちゃんからすぐ離れて、私の胸に頭をぐりぐりと擦り付けてくる。

「もう、Siro。お姉ちゃんがいけないの、、」

「あ、もしかして七瀬お姉ちゃんの頭撫でたから怒ってる?」

「ち、違う!七瀬お姉ちゃんが下手くそな撫でられ方されて可哀想だと思っただけだし」

「そっかそっかー、ありがとう飛鳥ー」

(でも、飛鳥の方が撫でるのは下手だぞー)

と心の中でツッコミつつ、もう1度頭を撫でると、顔を胸に押しつけて必死で表情を隠そうとしている。

「棒読み、、ムカつく…お姉ちゃんのばか」

「ふふっ、可愛いなぁ」

髪の隙間から見えた耳は真っ赤に染まっていた。



その頃、七瀬お姉ちゃんは、、

「ななのこと絶対忘れてるやろ…」

と文句をいいながら黙々と自分で持ってきたお菓子を食べていた。


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